ヴィッセル神戸の吉田孝行監督が、1日に放送されたラジオ関西の『ヴィッセル神戸 二冠達成特別番組』にゲスト出演し、リーグ戦2連覇、ならびに、天皇杯との二冠獲得に導いた2024シーズンの振り返りや、新シーズンにかける意気込みなどを語りました。

Jリーグ王者として臨んだ2024シーズンのヴィッセル。最初の7試合が3勝2分け2敗とほぼ五分のスタートで、途中、終盤の失点で勝点を取りこぼすこともありましたが、終わってみればJ1リーグ戦唯一の勝点70台(勝点72)を記録し、史上6クラブ目となるJ1連覇を達成しました。
「まず、Jリーグ王者として臨んだので、他のチームもすごく強い気持ちでくるし、分析もしてくるので、そういう部分で大変なところもあったのですが、それをはねのけてというか、自分たちが圧倒して優勝できたのは、よかったかなと思います」と、吉田監督。前回のJ1初制覇とはまた違った優勝の重みをかみしめているようでした。
ヴィッセルは2024年、J1だけでなく、JリーグYBCルヴァンカップ、天皇杯、そして秋からはAFCチャンピオンズエリートにも参戦。1年を通して多くの試合をこなしたなか、ルヴァン杯こそ3回戦でPK負けを喫したものの、J1と天皇杯の二冠を達成し、ACLEもリーグステージで上位につけています。その要因の1つが、選手層の厚さ。なかでも、2023年に続き、2024年も即戦力として加わった選手たちの活躍が目立ちました。
吉田監督は2024シーズンを通して最も成長した選手の1人に、MF鍬先祐弥選手の名を挙げます。
「成長した選手はたくさんいると思うが……サッカーでいうと、鍬先選手。J2という土俵から、J1の優勝クラブというところまできたなかで、キャンプのときからサッカーのところでは最初はついていけなかったですが、だんだんと彼の持ち味である守備とかそういうところ(持ち味)が出てきて、いまはチームに欠かせない選手になったと思う」
また、もう1人、シーズン二桁ゴールも達成したFW宮代大聖選手についても、ヴィッセルでの成長が際立った選手だといいます。
「彼はもともといい選手だし、他のチームでも活躍したと思うが、より自分のサッカーにフィットしたというか。彼の、ストライカー(としてのメンタリティー)といいますか、『自分が、自分が』というのが、いい方向にいってくれている。なかなかそういうメンタルを持ってやる選手はいま少ないので、そういう力を最大限引き出せたなと思う」
今のヴィッセルは、FW大迫勇也選手、FW武藤嘉紀選手、DF酒井高徳選手、MF山口蛍選手(2025シーズンよりV・ファーレン長崎に完全移籍)といった経験豊富な選手たちだけでなく、DF山川哲史選手、MF鍬先選手、FW佐々木大樹選手、FW宮代選手などいきのいい20代も活躍中です。
吉田監督は、「(ベテラン勢が)引っ張るだけじゃなく、自分自身がみんなそれぞれしっかりやるので、自然と引っ張られるというか、みんながもう『やるしかない!』というような空気づくりを普段のトレーニングからできている」と、チーム内でいい競争ができていることも、好調の要因に挙げていました。
一方、2024シーズンのホーム最終戦後のファイナルセレモニーでは、当時キャプテンの山口選手がスピーチのなかで、山川選手をキャプテンに後継指名する一幕がありました。
これについては、「蛍が言ったんですが、『キャプテンを決めるのは、最後、監督だからな』というのは冗談ですが(笑)、ただ、テツ、山川哲史をキャプテンにするのは、もともとプランとして昨シーズンにもあった。(いきなりの重責は)重荷かもしれないので、まずは副キャプテンをやってからということで。(だから、最終戦後に)蛍からそういう話しがあったのかなと思う」と、以前からクラブ育成組織出身の背番号4をチームリーダーにする構想はあったよう。
山川選手について、「チームのために汗をかくし、本当にヴィッセル神戸にとって欠かせない選手。成長していますし、自分の意見をベテラン勢にも伝えられるようになっている」と、この1年を通じての進化・成長も、指揮官は実感しているようでした。





