兵庫県東播磨地域のため池の現状や生態を知ってもらう取り組みとして、明石工業高等専門学校(明石市魚住町西岡)の学生たちが位置情報を活用したゲームアプリ「ため池GO!」を開発しています。きっかけや詳しい内容などについて、担当者に話を聞きました。
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4つの学科と本科卒業後にさらに2年間学ぶ課程である専攻科があり、様々な分野に興味を抱く学生たちが通う明石高専。国際的な活動にも力を入れており、留学生との交流も積極的に行っています。
アプリ開発のきっかけとなったのは「いなみ野ため池ミュージアム」(加古郡稲美町加古)からの依頼でした。専攻科の建築・都市システム工学専攻に通う2年生の桜井冬羽さんは、「(大阪・関西)万博の開催を機に行われている『ひょうごフィールドパビリオン(※)』で、ため池をテーマに何かできないだろうか……と学校に問い合わせがあったことが始まり」と振り返ります。
※県全体をパビリオンに見立て、来訪者に地域の様々な取り組み等を体験してもらうプログラム
同校の建築学科で教授を務める工藤和美さんは看板のデザイン作成などで地域と長年深い関わりがあり、東播磨地域のため池の現状について「ナガエツルノゲイトウという特定外来種が繁殖しており、管理者が大変苦労しています」とコメント。学生たちは、より深い知識を得るためにミュージアム事務局との打ち合わせを重ねていきました。実際にため池へ訪れたり、事務局へのプレゼンテーションも積極的に行ったそうです。
ゲーム内容について教えてくれたのは、電気情報工学科に通う4年生の村上惟さん。「スマホを持って、アクセスポイントがあるため池を目指します。QRコードを読み込み、各ため池のホームページを閲覧した後、アプリを開くとスタンプを集めることができます」と話しました。
実際に生息している生き物の“ガチャ”を楽しむことができるシステムも装着し、機能は順次増えていく予定だとか。「内容は専門家の方に何度もチェックいただきました」と電気情報工学科・准教授の土田隼之さん。
苦戦したポイントについて、機械工学科・4年生の前田凛太朗さんは「外部の方からの依頼を受けてWebアプリを制作することが初だったので、今までは感じることのなかった責任や問題と向き合わなければならなかった点ですかね」と話しました。前田さんだけでなく、制作に携わった学生全員が初めての経験だったそうです。
同アプリは、昨年の11月3日に行われたイベント「いなみ野ため池巡りロゲイニング」で試験運用されました。「一番盛り上がっていたのはガチャ機能です。コウノトリが出たら『やったー! 』、ヨシやガマなどの植物が当たると『またか…… 』など、生の声を多く聞くことができました」と村上さん。4月13日の大阪・関西万博開幕に合わせて本格運用を目指すそうで、桜井さんは「来訪者だけでなく、地域住民の方々にも楽しんでもらいたいです」と意気込みを語りました。
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「ため池GO!」はWebアプリのため、アカウントを作成すればダウンロードすることなく楽しむことができるそう。いなみ野ため池ミュージアムの連携範囲内のほか、アクセスポイントが設置されているため池で実施されるとのことです。
(取材・文=長塚花佳)
※ラジオ関西『Clip』水曜日 2025年1月29日放送回より