障がい者も自分らしく活躍する社会を目指して スポーツとアートを通じた支援活動への挑戦 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

障がい者も自分らしく活躍する社会を目指して スポーツとアートを通じた支援活動への挑戦

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 障がい者の生活支援に携わる会社の代表が、事業を行うきっかけや、身体を張った挑戦、そして、大阪・関西万博に向けた活動などについて語りました。

 障がい者が働くための訓練を行う施設の運営や、安心して生活できる住まいの提供など、障がい者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための相談支援事業を行っているのは、中井健太さんです。

 自身の家族が障がいを抱え、幼少期から福祉に触れる機会が多かった中井さん。父親や祖父も障がいを持ちながら、決して妥協せずスポーツを楽しんだり日常生活で困難を乗り越えたりする姿を見て育ちました。

「そこ(家族に障がいを持つ者がいること)に壁や世間が思うペナルティーなどの思いをまったく感じず、誰よりも努力してきた。弱者というイメージは一切ない」と話すなか、障がい者支援の仕事に携わるきっかけとなった出来事について、次のように振り返ります。

 地元の駅で、障がい者が作ったクッキーやパンを売っている光景を見たとき、非常にショックだったそうで、「(僕の)父親や祖父が強く生きていただけで、世間の人たちからしたらどうしていいかわからないんだ……」と思った中井さん。もっと彼らを支援できる方法があるのではないかと考えます。

「ご家族も彼らの支援をするために仕事ができていない。その子に付き添ってきているのを見たときに、『だからクッキーやパンなど、主婦や女性が家庭でできる延長線でしかやっていなくて、そういった売り方しかできないんだな』と思った。そして、『自分だったらその営業を使っていろんなところに売っていってあげられるんじゃないかな』と思って(支援活動を)始めた」(中井さん)

 障がい者ができる仕事や活動に対する社会的な壁を感じた中井さんは、障壁を乗り越えるために営業の力を使って支援を広げていこうと決意。そして、障がいを持つ人たちがやりがいを持ったり「目標となるような人」づくりを行ったりするための支援活動をスタートさせます。

 その入口に選んだのは、スポーツでした。そして、目標に掲げたのは、「パラリンピックでメダルを取る」選手づくり、選手のサポートという大胆なもの。ただし、当時ルールもわからないなか、どうすれば代表になれるかを各協会に問い合わせても門前払いされるのは目に見えていたため、まずはイベントの協賛を行うことで、つながりづくりの突破口を開いていったそうです。

 そこでたどりついたのが、“鉄人レース”といわれる過酷な競技、トライアスロン。スイム・バイク(自転車)・ランで競うスポーツということで、その3競技と「トライアスロンと、あわせて4つの競技にアタックできる(つながることができる)」と考えた、中井さん。

 はじめは相手にされなかったということで、なんと自らが未経験ながら兵庫県三木市でのトライアスロン大会にチャレンジ。何も知らないなかでの挑戦だったため、一人だけママチャリで参加するという前代未聞の行動になり、「最初は冷やかしだと思われた」そうですが、「本気でやり切った」「(障がい者施設の)利用者さんを連れて行ったので、この子たちの前で途中棄権はあかんという思いだった」と、意地の完走を達成。この身を挺した頑張りもあり、競技をともにやっている人たちや協会・運営側にも受け入れられていったといいます。

 このアクションを通じて、障がいがある人々が目標を持って挑戦する重要性を伝えることができ、そこから10年間、中井さんたちはしゃにむに奮闘。自らが支えてきた人たちが競技で好成績を残していったそうです。「僕ひとりの力ではできなかった。皆さんに支えられた」(中井さん)。

 一方で、ふと気づいたことがあったと、中井さん。それは、障がい者の表現の場がまだまだ少ないということでした。

 この気づきから、中井さんは障がいを持つ人のアートを広めていく活動にも取り組みます。そのなかで、大阪府寝屋川市出身のパラ・アーティスト、MUSASHI(武蔵)さんのマネジメントを行い、幼少期から絵画や物作りを続けて才能を伸ばしてきた彼をサポートすべく営業活動にまい進。人の輪が広がっていき、様々なイベントに出展したり、つながりができたりした結果、大阪・関西万博で個展を実現。7月9日から2日間、「世界のMUSASHI個展」(会場:フューチャーライフゾーン ギャラリー WEST)を開催する運びとなりました。

「福祉をやる以上、“福祉を世界に”と思ったら『もっといける! もっといける!』と伸びしろを見せてあげることが僕の大事にしているところ」と、中井さん。障がいを持つ人の可能性を開く活動では、彼らのマネジメントを通じて、世界という場も意識してきました。

 大人になってから新たな挑戦を行うことで、人生が豊かになることを実感したこともあり、その思いを、今、サポートしている障がいを持つ人々にも実感してほしいと、言葉に力を込めます。

 中井さんは、自らの経験を踏まえながら、「得意だからやる、得意なことしかしないじゃなくて、実は知らなかったことや苦手なことをやると、結構おもしろいもの。それはみんなにもチャレンジしてほしい」と呼びかけていました。

※ラジオ関西『泰人くにひろ yell!!え~る!!!』2025年1月18日放送回より

中井健太さん(写真右手前)と、ラジオ関西『泰人くにひろ yell!!え~る!!!』番組パーソナリティーの本田泰人さん(同左奥)・おおうえくにひろさん(同右奥)・Airiさん(同左手前)
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