4月13日の大阪・関西万博開幕まであと2か月。いよいよ注目が高まる中、1月19日には会場最寄り駅となる大阪メトロ中央線・夢洲駅が開業した。パビリオンも一部完成しており、各企業もPR強化を図りながらイベントなどの打ち出しを開始。日本の伝統やSDGsに関わる内容も多く見受けられるようだ。
外国人を含む多くの観光客を受け入れることになるのが、大阪の外食産業。食の都の発展とともにSDGs実現を目指す大阪外食産業協会(ORA)は、パビリオン『宴〜UTAGE〜』を出展する。
同協会は業界としての方向性を定めるべく、昨年2024年、農林水産省のガイドラインを元にした外食産業専門の“サスティナビリティ経営チェックシート”を作成、パビリオン参加企業、大阪外食産業協会の関連企業に配布した。
同パビリオンSDGs担当の岡野嘉市さんによると、これまでに計32社から回答を得たとのこと。回答からは、既にサステナブルに関心を寄せ、意識した取り組みを行っている企業が多いことがわかったという。
![大阪の外食産業でもSDGsを意識した取り組みを進める企業が多い ※画像はイメージ](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2025/02/4606119_s.jpg)
シートは各社の自社分析にもつながったようだ。「自社の取り組む内容を『情報開示できている』と思っていたのが、ホームページやSNS、広報活動で『誰もがわかるような打ち出し』として公表できていなかった部分もあったことが明らかになったとして、非常に好評でした」(岡野さん)
個性ある各企業。今回のチェックでも様々な取り組みが見受けられたそう。今後は、取り組みへの評価が高い企業を「先進モデル」として周知する発信も検討しているとのことで、岡野さんは「優秀企業については、『宴〜UTAGE〜』内で取り組み内容などを展示できるようにしていく」と明かした上で、「飲食業界は、非常に多くの熱や電力を使います。自然エネルギー、再生エネルギー、バイオマスエネルギーなどの活用が、気候変動への対策になるともに、コストカットにもつながる』と話した。
そのような中、懸念もあるという。「排出量(排出権)取引制度」だ。排出量取引制度とは、政府が各企業に二酸化炭素(CO2)の「排出枠」(排出を認める量)を予め割り当て、過剰に排出することになった企業と、排出量が枠を下回る企業の間で、枠の取引(売買)を認める制度。
景気の動向に応じた活動量の変化に対応することを視野に入れたもので、平準化により全体での排出量削減を狙う点で有効と言える。一方企業としては、CO2を出し過ぎた場合、その処理(他社からの枠購入)に追加コストが生じる。CO2削減は、環境問題へのアプローチとしてはもちろん、経営的側面からも直ちに取り組んでいく必要がある取り組みと考えられる。
発展のために利益を追求するのが企業。地球環境に良い取り組み、資源の再利用・再活用などと併せてコストカットを行っていかねばならない。それらがうまく循環し始めてこそ、日本政府が2050年までの実現を掲げる「脱炭素社会」「持続可能な社会」への大きな一歩となるのではないだろうか。
※ラジオ関西『正木明の地球にいいこと』より