バイクに乗っていたある日、後ろから「ブォボォォォ〜ブォォボォォォ〜」」と爆音を鳴らしているヤンチャ系バイクが走ってきたんです。そのバイクは、言うてる間に私の横に並び、そして抜き去っていきました。
バイクが横に並んだとき、ふとヤンキーさんの足元に目をやりますと、靴になんかを被してるんです。「何やろ?」と思い、走り去る前に二度見すると、それは軍手でした。
「靴に軍手!? しかも両足」

靴の先っぽに被してますから、軍手の指の部分が風になびいてピロピロ。その姿はカエルの足先のようにも見えて、めちゃくちゃ滑稽なんです。
「これはちょけてるのかな?」
「あるいは、私の知らぬ若者のカブキ方なんかな?」
「いやいや、まだ寒い日もあるから足先を少しでも温めようとしているのかな?」
いろいろと考えを巡らせている間に、信号待ちをしているヤンキーさんのバイクに追いついて横に並びましたんで、思いきって声をかけてみました。
「その足先の軍手って、何ではめてるん?」
いきなり声をかけられたため、ヤンキーさんは一瞬「はぁ?」みたいな顔をしましたが、「ああ、これ? 俺、足が汚れるの嫌いなんすよ……」と言いながら、説明してくれました。
「バイクに乗るときって靴が汚れるやないですか。ミッションのバイクやったらギアチェンジのときとか、バイクのパーツについたオイル汚れや排気ガスの汚れが黒く擦ったように結構つくんで、こいつ(軍手)が汚れ防止になるんすよ」
確かに私も思ってました、バイクを乗るときは靴がよう汚れると。特に、白いスニーカーなんて真っ黒になるし、革靴なんて履いて乗ったらすぐに傷ついてボロボロになってまうし。特に、先っぽ。
