平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、照明家で豊岡ミリオン座の館長を務める井坂浩さんが出演。兵庫県豊岡市に移住した経緯や地域コミュニティとの関係構築、歴史ある建物をいかしながら新しい文化施設として再生させる取り組みについて語った。

井坂さんは、茨城県那珂市出身。平田オリザさん率いる劇団『青年団』では照明家として数多くの舞台を担当し、その温厚な人柄から内外での信用も厚い。
青年団が拠点を兵庫県豊岡市に移したタイミングで、井坂さんも移住を決意。2020年より地域おこし協力隊として赴任し、江原河畔劇場の照明や大学講師、豊岡演劇祭のコーディネートを担当した。現在は、舞台や演劇の企画運営を手がけるイサカプランニングを起業し、玄武洞での照明演出やコーディネートに携わっている。
豊岡での日常について、井坂さんはこのように語った。
「秋は演劇祭で忙しいのですが、春には田植えの手伝いなどもしています。収穫の大事な時期に参加できないので心苦しいのですが、『夏にはホタルを見においで』と声をかけていただいています」(井坂さん)
そんな井坂さんのもとに、友人からある物件の利活用について連絡があった。JR豊岡駅から徒歩10分の場所に位置し、2014年の閉店以降、1階フロアがそのままになっていた『昭和パチンコ劇場ミリオン会館』だ。
幾何学模様を配したモダンな建造物であるミリオン会館。戦後の娯楽が限られていた時代に「たのしい時間を過ごしてほしい」「ワクワクする瞬間を味わってほしい」という思いからスタートし、60年にわたって地域住民に親しまれてきた。
友人から連絡があった当時について、井坂さんはこのように振り返った。
「友人がSNSで(ミリオン会館を)見つけてくれて、『井坂、劇場やりたいんでしょ』って(声をかけてくれた)。プレゼン資料を用意して、“マネーの虎”に臨むような気持でご挨拶に伺ったら、トントン拍子に話が進みました」(井坂さん)
井坂さんは、いわゆる“劇場”然としたブラックボックスに改装することは考えなかった。当時の面影を残しながら誰もが気軽に利用できる場所を目指して改装を進めた結果、パチンコ台こそないが、往時のにぎやかさが感じられる味わいある『豊岡ミリオン座』として生まれ変わった。
