5月5日は、「こどもの日」。じつは、そのルーツは古く、奈良時代から続く伝統行事「端午の節句」にあります。由来や歴史について、播磨国総社射楯兵主神社(兵庫県姫路市)祭務部の尾崎祐彦さん(※尾崎の「崎」は、たつさき)に話を聞きました。
尾崎さんによると、もともと、端午の「端」は「はじまり」を、「午」は干支の「うま」を指し、「月のはじめの午(うま)の日」を意味していたそうで、「やがて、午(ご)と五の音が似ていることから毎月5日を指すようになり、特に5月5日が節句として定着した」と解説しました。
江戸時代になると、武家社会の影響を受け、男児の健やかな成長と出世を願う行事へと発展。菖蒲(しょうぶ)の葉を刀に見立て、鎧兜(よろいかぶと)を飾る風習や、鯉のぼりを掲げる文化もこのころから広まりました。菖蒲が「勝負」や「尚武(武道を尊ぶこと)」に通じることから、男の子の節句としての意味合いが強まっていったのです。
この流れから、現代においても、鎧兜や五月人形を飾り、柏餅やちまきを食べてお祝いする家庭が多いでしょう。

ところで、どうして柏餅は柏の葉に包まれているのでしょう? この疑問に、尾崎さんはこのように回答しました。
「柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないため、“家系が絶えない”という意味を持ち、縁起の良い植物とされています。なお、関東や中部以北では柏の葉、関西ではサルトリイバラの葉が使われるのが一般的で、地域ごとに違いがあるのも興味深い点です」(尾崎さん)
柏餅と並ぶ伝統的な食べ物が、「ちまき」です。甘くない餅を笹の葉で包んで蒸したもので、古くは茅(ちがや)の葉で巻いたことから「ちがや巻き」=「ちまき」と呼ばれるようになったそうです。ちまきには厄除けの意味が込められており、特に関西地方で親しまれてきました。

こうした風習や食文化を通して、子どもたちの健やかな成長を願う気持ちがいまも息づいているのですね。
(取材・文=洲崎春花)
※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』2025年5月4日放送分より





