居酒屋やファストフード店のメニューとして日本でも人気のフレンチフライ(フライドポテト)。そもそもこれはどこの国の料理なのでしょうか。「フレンチフライ」と呼ばれるだけに、発祥はフランス……? 気になった筆者が少し調べてみると、手がかりはヨーロッパの一国・ベルギーにありそうなことが分かってきました。そこでベルギー情報を発信するサイト『ベル通』の運営者・芦田さんに詳しい話を聞きました。
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同国の名物と言えばビールやチョコレートを思い浮かべがちですが、実はフレンチフライも超有名。街の主要な場所には専門店があり気軽に買い食いができるほか、若者は飲みのシメとしてフレンチフライとソーセージなどを提供する「スナックバー」と言われる店に行くこともあるようです。しかも日本で食べられているものとは少し異なるそうで、我々が普段目にするものよりひとまわり太く、ソースの種類も非常に豊富なのだとか。ディップするマヨネーズひとつ取ってもフリッツ専用に作られた商品が存在するほどだといいます。
スーパーマーケットには冷凍フレンチフライが何種類も並び、家庭でも日常的に食べられているそう。「子どもがいる家庭では、週に1度は作る印象です。例えば関西だと『各家庭にたこ焼き器がある』と言われるように、ベルギーのキッチンには専用フライヤーがあります」(芦田さん)
近年では、フレンチフライを豪快に挟んだサンドイッチの「ミトライエット」なるものが発明され、瞬く間に若者たちの間でバズったとか。ここまで話を聞くと、「やはりフレンチフライの源流はベルギーに……?」と思わざるを得ません。
しかしながら、芦田さんは「本場とされているベルギーをはじめ、ヨーロッパのフランス語圏ではフレンチフライとは言いません。『フリッツ』と呼びます」とキッパリ。フレンチフライは、主にアメリカ人などフランス語圏以外の人たちが使う名称だという意外な事実を述べました。
ではなぜ、フレンチフライという名称が登場したのでしょうか? 芦田さんによると「第一次世界大戦中にベルギーを訪れたアメリカ兵が、フランス語を話すベルギー人をフランス人だと思い込み、彼らが食べる揚げポテトをフランス料理だと誤解。そこから『フレンチフライ』と呼ばれはじめたという説が有力です。その一方で、フランス・パリで食べられているジャガイモ料理『ポムフリット』が起源だという説も」とのこと。
他にも「17世紀のベルギー南部の都市・ナミュールで川が凍結して魚が取れなくなったことから、ジャガイモを揚げたのが始まり」という説も存在するそうで、結局のところ起源は定かではないのだとか。
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ちなみに現在ではフランス人を含めほとんどの人が「フリッツはベルギー名物」と認識しているそう。そのため芦田さんらも“ベルギー発祥説”を唱えているとのことです。
(取材・文=つちだ四郎)





