姫路信用金庫(本店:兵庫県姫路市十二所前町105)は、兵庫県立大学と共同で取り組む新製品・技術の研究開発や新分野への進出を目指す企業を支援するための助成金について、このほど2025年度の採択企業が決まり同本店内で贈呈式が行われた。
この制度は、地域企業の技術革新や新事業の創出を後押しすることを目的に、大学と連携して研究開発を行う企業・団体に対し助成を行うもので、2005年の開始以来、今年で21年目を迎えた。これまでの累計採択件数は81件、助成総額は3060万円となる。地域金融機関による継続的な産学連携支援としては全国的にも先進的な事例とされる。
2025年度の助成対象として採択されたのは▼龍野商工会議所(たつの市)▼株式会社日東社(姫路市)▼日高食品工業株式会社(同)の3者。いずれも兵庫県立大学の研究チームと連携し、地域課題の解決や新市場の開拓に資するプロジェクトに取り組む。
【龍野商工会議所】
カーボンニュートラル社会実現に向けた地域共同プロジェクトをテーマとしており、すでに会員企業へのヒアリングを進めている。今後は県立大学がまとめた調査研究や経済波及効果の推計を会員企業へ周知し、企業の行動変容を促すとともに、その企業努力を社会へ発信していく予定だ。商工会議所自体が助成対象となるのは制度開始以来初めてで、経済団体による“面的支援”のモデルケースとなることが期待されている。
【株式会社日東社】
マッチ製造を手がける同社。県立大学との連携により、マッチの新用途開発や新たな可能性を探る。マッチの生産量が減る近年において、需要喚起のため“火をつける”という機能的価値だけでなく「情緒的価値の付加」や「着火以外の用途」への展開を図る。中でも、Xで話題となったデザイン性の高い「ブルーラベル」は、今年11月に発売予定で若年層への訴求も視野に入れる。
【日高食品工業株式会社】
伝統食材である「とろろ昆布」の消費拡大を目的としたレシピ開発を進める。調理の簡便性や健康価値に着目し、若い世代にも親しみやすい商品開発を目指す。創業100周年を迎える同社にとって、節目の年にふさわしい新たな挑戦となる。
式典では、同信金の三宅理事長が今回の採択について「経済団体の選定は初めて。商工会議所は企業の集合体であり、単体では成し得ない地域貢献が期待できる」と強調。また「地場産業や地域文化と深くかかわる商品において、新たな取り組みにチャレンジいただくのはとても意味のあること。100年以上地域を支えてきた企業が、さらにその存在価値に高める成果に結びつくよう願っている」と語った。
(取材・文=森本真由)





