神戸市医師会は、災害の発生直後に同市の開業医や看護師らが救護所で応急処置などにあたる「災害時神戸メディカルチーム」(D-KOMET)を結成、31日、発足式を開いた。南海トラフ巨大地震など大規模災害が起きた際、病院が十分に対応できなかったり、外部からの医療支援が届くまで時間がかかる状況を補う目的で立ち上げたもので、あらかじめチーム登録した医療従事者メンバーが災害時に活動する取り組みは、全国的にも極めてめずらしいという。
1995年の阪神・淡路大震災において、組織で効率よく医療活動ができなかったという反省から生まれた取り組み。2024年11月から説明会、合同防災訓練などを行いながら医療従事者らにチームへの登録を呼び掛けてきた。7月末現在、登録者は330人(うち医師は171人)。

チームは、医師と看護師、業務調整員(薬剤師など)の計3人を最小構成人数として編成する。行政と連携して地域の医療状況を把握しながら、一体となって活動する仕組みだ。救護所では応急処置のほか、治療の優先順位を決める「トリアージ」や死亡確認なども行う。
発足式では、同医師会の堀本仁士会長がチームの代表メンバーに任命状を手渡した。受け取った小川達司・中央区医師会統括は「今年で阪神・淡路大震災から30年。当時は準備ができておらず右往左往した。今考えるとたくさん助けられる命があったと思う。その教訓を生かして市民の安心安全、健康を守りたい。今、震災が起きても活動する所存だ。皆さんで神戸を守っていきましょう」と抱負を述べた。

堀本会長は「広域災害である南海トラフ地震が起きた場合、特に初期は神戸には外部からの支援が届かないかもしれない。地元で官民一体となった備えが必要。事前登録と訓練を進め、より実効性の高いチームに育てていきたい」と話した。






