フンボルトペンギン絶滅の危機!←“日本人愛食の魚”が関係? 大阪・関西万博「チリ館」が伝える真相 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

フンボルトペンギン絶滅の危機!←“日本人愛食の魚”が関係? 大阪・関西万博「チリ館」が伝える真相

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 現在開催中の「大阪・関西万博」は158の国と地域・7つの国際機関が参加しており、パビリオン(展示館)を通し世界各国の文化や歴史を知ることができます。今回は、南米の南西部に位置する国・チリ共和国のパビリオンにフォーカス、同国の意外な事情が見えてきました。

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 約40mもの壁面スクリーンから流れる映像と音楽で、チリの風景や歴史・特産物について学ぶことができる同館。目を惹くのは、パビリオンの中央に据えられた巨大な織物「マクン」。アメリカ先住民のマプチェ族に代々受け継がれてきた伝統的な織物文化のことで、「身を守るための布」を意味します。パビリオンでは、今回の万博のため約200人もの織り手によって織られた鮮やかな手織り布を間近で眺めることができます。

チリ館のメインともいえる巨大織物「マクン」

 南太平洋に面し多種多様な生物を見ることができる同国は「フンボルトペンギン」の生息地としても知られています。パビリオン公式キャラクターのモチーフになるほど国のシンボル的存在である彼らですが、じつは特産物である「サーモン」と深い関わりがあるのだとか。

フンボルトペンギン(イメージ)

 チリはノルウェーと肩を並べる世界屈指のサーモンの産地で、養殖もさかんです。日本市場においては鮭・マスの約6割が同国産なのだそう。ところが、養殖の際に与えるエサに含まれる小魚を捕獲することで、それらを主食とするフンボルトペンギンたちの食糧が減少。加えて昨今の異常気象なども相まってペンギン達は個体数を減らしているというのです。また、漁で使用する網に引っかかって命を失ったり、一部の養殖場ではエサやフンが堆積することで水質汚染が発生する問題など、サーモンの養殖とペンギンの生息に紐づいた環境の変化も危惧されています。

チリ館にはサーモンなど特産物の展示も

 そうした環境破壊を防ぐべく、2010年にASC(水産養殖管理協議会)という組織が発足。「自然生息地、地域の生物多様性および生態系の保全」や「水資源および水質の保全」など、ASCが定めた基準をクリアした水産物は「ASC認証」が取得できるようになりました。日本でもこのASC認証が導入されつつあるので、サーモンを購入する際の基準にもなりそうです。

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 チリ館では水産物に関する展示のほか養殖業や漁業をテーマにしたイベントを開催し、国の課題と解決策についてアナウンスしています。万博ではこうした諸国の産業や特産品に関する発信をおこなうパビリオンが数々あり、我々が「日本の外で起こっている“コト”」に目を向けるいい機会と言えるかもしれません。

チリ館の公式キャラクター・チリちゃん。フンボルトペンギンをモチーフにしている

(取材・文=つちだ四郎)

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