イタリア北部の都市・ボローニャで毎年開催されている、世界で唯一の子どもの本専門の国際見本市「ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア」。その絵本原画コンクールの入選作品を集めた「2025イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」が、西宮市大谷記念美術館で開催されている。2025年10月13日(月・祝)まで。
「ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア」は、イタリア・ボローニャに世界中から出版社が集まる子どもの本専門の国際見本市で、今年は3月31日から4月3日に開催された。95カ国・地域からブースが出展され、編集者やイラストレーターなど3万3000人あまりが訪れた。
この中で行われる絵本原画コンクールは、5枚1組のイラストを用意すれば誰でも応募できる公募展で、入選を機に作家としての第1歩を踏み出す人も多く、絵本作家の登竜門とされる。日本からも多くの作家がこのコンクールから羽ばたいた。今年は89カ国・地域から過去最多の4374組の応募があり、日本人6人を含む29カ国・地域の76組が入選した。今展ではそのすべての入選作品を紹介する。

「今回は、愛らしいキャラクターや朗らかな雰囲気の入選作が目立ちました。観ている人を勇気づけ、前向きな気持ちにしてくれます」と同館の作花麻帆学芸員は解説する。そして「それぞれのイラストからストーリーを想像してみるのも、この展覧会の楽しみ方の一つ。作品によっては作家によるテキストが添えられているものもあるので、そちらも合わせてご覧いただきたい」と話す。
未来への明るい兆しが見える作品が多い中、戦争や環境破壊など、今まさに世界中で直面している問題について、深く考えさせられるものもある。ウクライナのマリア・ハイドゥクの作品『神々を殺すもの』では、不穏な空気が漂うイラストが並び、5枚目には「自然や動物たちのために何ができる?」とのキャプションがつけられている。






