3年ぶりの皆既月食を見逃すな!スマホでも撮影できるかも 2025年9月の星空散歩 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

3年ぶりの皆既月食を見逃すな!スマホでも撮影できるかも 2025年9月の星空散歩

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 2025年9月は、なんといっても8日の皆既月食に期待したい。今年2回目の皆既月食だが、1回目(3月13日~14日)は日本では見られず、今回は、日本で比較的いい条件で見られる3年ぶりのチャンスとなる。

画像提供:明石市立天文科学館
画像提供:明石市立天文科学館

 月食は、太陽・地球・月(満月)が一直線に並び、月が地球の影に入ることで起こる。満月の度に起こらないのは地球の軌道に対し月の軌道が少し傾いているためで、多い時で年2回ある。

 9月は農作物の収穫時期にあたることから、この日の満月は「コーンムーン(とうもろこし月)」と呼ばれる。8日未明から明け方にかけ、皆既月食が起こる。天気など条件が整えば、日本全国の南西の空で見ることができる。午前1時27分、部分食が始まる。皆既食は2時31分に始まり、終了は3時53分。部分食が終わるのは4時56分。欠け始めてから満月に戻るまで約3時間半の「ショー」となる。この時間は日本のどこで見ても変わらない。場所によって月の高度が違ってくる。この日の神戸の月の入りは5時46分。日の出は5時37分。満月に戻るころには、月は地平線の近くにいて、空はすでに明るいだろう。

 皆既になると、月は赤銅色になる。皆既日食の太陽は黒くなるが、月は黒くならない。月が太陽の光を受けなくなり、眩しさがなくなる。とはいえ、地球の大気で太陽の光が屈折して月面に届くため、赤のような茶のような色になる。

 皆既月食の時、近くで光っているのが土星だ。土星は22日に衝(地球から見て太陽と反対側に位置する)となり、日の入りの頃に東から昇り、南中し、日の出の頃に沈むので、一晩中、空で輝く。土星というと大きな輪が特徴だが、今年は環を真横から見るタイミングとなっていて、土星の環は、「とても細い」か「見えないかも」という状態である。多くの人が抱くイメージとは違った土星を楽しむチャンスとなる。

 土星は、中旬にかけてはうお座を西に移動し、下旬にはみずがめ座に移る。誕生星座として知られるこの2つの星座は「秋の星座」だ。

 うお座は一番明るい星でも4等星で、見つけにくい。星座の絵では2匹の魚が描かれ、しっぽが結ばれている。ギリシャ神話によるとこの2匹は、美の女神アフロディーテとその子で愛の神エロスが化けた姿とされる。神々が宴会をしていたところ怪物が現れたので、魚の姿に変身して逃げようとした姿と伝えられる。暗くて目立たない星座であるが、惑星の動きや星の位置の基準となる点のひとつ「春分点(春分の日に太陽が見える方向)」がうお座にあり、天文学的には重要な星座とされる。

 みずがめ座も明るい星がなく、目立たない。星座絵では、水がめを持った男性と、かめからこぼれ落ちる水、さらに水を受ける魚の姿が描かれている。この魚は「みなみのうお座」で、魚の口という意味を持つ1等星フォーマルハウトが輝く。ギリシャ神話では、男性はゼウスにさらわれたトロイの美少年ガニメーデスとされ、ゼウスは自分に仕えさせ酒の相手をさせた。水がめに入っているのは酒かもしれない。

 日の入りの時刻が徐々に早くなり、夜が少しずつ長くなってきた。星空の観察にはそろそろ寒さ対策も必要になってくる。準備万端で臨みたい。

(協力:明石市立天文科学館 井上毅館長)

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