演劇が育む可能性 障がいのある子どもたちの成長を支える 放課後等デイサービス『るび』の挑戦 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

演劇が育む可能性 障がいのある子どもたちの成長を支える 放課後等デイサービス『るび』の挑戦

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 神戸を拠点に、演劇を通じて障がいを持つ子どもたちの可能性を引き出す、放課後等デイサービス「るび」。代表を務める大平(おおだいら)正寿さんが、平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に出演。設立の経緯と取り組みについて語った。

放課後等デイサービス「るび」の代表・大平正寿さん(写真中央)、番組パーソナリティーの平田オリザ(同右)、田名部真理(同左)

 放課後等デイサービス「るび」は、全国的に珍しい、演劇を活動の中心にした放課後等デイサービスだ。発達障害や自閉傾向、ADHD、不登校などのバックグラウンドを持つ子どもに対して、社会的に必要なコミュニケーション能力を高めるために、演劇を軸としたいくつかのプログラムを用意している。

 かつては演出家を目指し、(平田さんが主宰する)青年団の演出部にも所属していたという大平さん。その後、バックパッカーや船舶の修繕技師などを経て、約8年半にわたり特別支援学校や定時制高校で教諭を務めた。ここでの演劇部顧問経験が転機となる。

 子どもたちが舞台に立つと、不思議なほど背筋が伸び、自信に満ちた表情に変わっていく。そんな姿を目の当たりにし、“演劇”が持つ教育的可能性を感じた。

「私自身も、演劇の先生で生きていけるならそれはうれしい。一緒に可能性を探ってみよう、と思ったんです」(大平さん)

 2020年、JR元町駅からほど近い場所で「るび」をスタート。自閉症、ADHD、不登校などを経験した子どもたちが、月額4000円程度で利用できる。

 現在は小学生から高校生まで約35人が通い、週1回のペースで活動し、3か月かけてひとつの舞台作品を創作。脚本から小道具制作まで、子どもたち自身が主体的に取り組む。スタッフは最小限の介入にとどめ、子どもたちの自主性を重視している。

 ここでは、障がいは「特性」と呼ばれ、一人ひとりの個性として尊重される。年長の子どもたちは年少の子どもたちを優しくサポートし、互いに成長していく。

 セリフを覚える早さは驚くほど。特に、自閉症スペクトラムの子どもたちは、驚くほど正確に台本を暗記し、時には相手のセリフまで覚えてしまう。また、コミュニケーションが苦手な子どもも、次にどんなセリフがくるかが分かるため不安が軽減される。

 こうして彼らは舞台に立つことで、それぞれに自分の可能性を発見していく。「自分にもできる」という自信が、彼らの目を輝かせる。

 我慢ができない子どもも、演劇の場合は「このセリフの後は自分」と見通しが立っているから、待てるようにもなってくるという。

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