世界にはさまざまなルールやタブーが存在しますが、チョコレートの原材料「カカオ」の生産国やサッカーの強豪として知られる南アフリカの国・ガーナでは「左手は使わない方がいい」というルールがあるのだとか。その理由や詳しい話を、NPO法人「アフリック・アフリカ」の桐越さんに聞きました。
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左手の話について桐越さんは次のように回答。「ガーナ北部のムスリムの人たちは、イスラームで『左手は不浄である』と教えられています。そのため、食事の際や人に物を手渡す際は右手を使わなければなりません」とのこと。実は人口の約17%がイスラム教を信仰しているガーナ。ちなみにインドネシアやインド・タイなどに暮らすイスラムの人々も、同じように左手の使用を避ける傾向があるそう。
とはいえ国民の約70%がキリスト教徒であり同国の大半の人には関係の無い話かと思いきや、一般的に“左手は不浄”という考えが浸透しているのだとか。このことについて「宗教関係なく『左手はNO』である理由については、はっきりとしていない」と桐越さんは述べます。
現地では「トイレでお尻を拭く時に使うのが左手だから、右手は食事に使わない。同じように左手で人に物を渡すのも失礼だからありえない」という説明を受けたり、「もともと左利きだったのに、父親に右手を使うように矯正された」というエピソードを聞いたという桐越さん。「日本人が『玄関で靴を脱ぐ』という文化を地域や世代を問わず共有しているのと同じようなことであると考えてもらえれば、分かりやすいのでは」と説明しました。

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この習慣においては、観光客であっても事情がない限り従った方ががいいそう。仮にうっかり左手を使ってしまってもガーナの人たちが激しく咎めるようなことはありませんが、「マナーがなっていない」「失礼だな」と思われる可能性が高いのだとか。左右の手を使う日本人の感覚からするとなかなか馴染みのない文化ですが、「郷に入っては郷に従え」ということですね。
(取材・文=つちだ四郎)
【取材協力】NPO法人「アフリック・アフリカ」
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