自動運転車で「灘五郷」を回ろう 日産、神戸市が1月に実証運行スタート 2030年度の商用化目指す | ラジトピ ラジオ関西トピックス

自動運転車で「灘五郷」を回ろう 日産、神戸市が1月に実証運行スタート 2030年度の商用化目指す

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 歴史ある酒蔵を自動運転の車で快適に訪れてもらおうと、日産自動車(横浜市)は、神戸市にある日本屈指の酒どころ「灘五郷」エリアで自動運転技術を活用した実証運行を2026年1月から開始する。同社と神戸市、灘五郷酒造組合などが連携した取り組みで、観光振興に加え地域交通の課題を解決するねらいも。今後段階的に実証を重ね、2030年度の商用運行スタートを目指す。

実証運行に使用する車両

 最初の実証運行は2026年1月19日から23日までの5日間。日産の「リーフ」をベースにした自動運転車両を使い、神戸酒心館を発着点に白鶴酒造資料館、菊正宗酒造記念館、浜福鶴吟醸工房の計4カ所の酒蔵施設(いずれも神戸市東灘区)前を巡る。1周約20分の周回ルート(停車はしない)で、時間帯は午前8時から午後4時まで。運転席にドライバーが座る「レベル2」運行となる。

 日産による同様の実証運行は、横浜市に続き神戸市が2例目。灘五郷は国内清酒課税数量の約23パーセントを占める日本最大級の銘醸地で、各蔵の資料館や工房には国内外から多くの来訪者がある。

神戸市東灘区の白鶴酒造資料館入口

 このほど開かれた発表会見には日産のイヴァン・エスピノーサ社長が出席。同社長は「灘五郷の伝統的な酒造りと歴史は、世界中の日本酒ファンを魅了している。今回の実証で、自動運転がどのように観光価値を高めるか検証したい」とあいさつ。神戸市の久元喜造市長は、今年の神戸市内の外国人延べ宿泊者数がこれまでで最多の100万人を超える見込みであることを明らかにし、「たいへんタイムリーな実証実験。日本的文化が感じられる酒蔵はインバウンドの皆さんにも関心が高く、自動運転はエリアの活性化につながるだろう」と述べた。

日産自動車のイヴァン・エスピノーサ社長(2025年11月28日、神戸市東灘区の白鶴酒造資料館1階ホール)
神戸市の久元喜造市長(2025年11月28日、神戸市東灘区の白鶴酒造資料館1階ホール)

 日産と市は今後、2026年度には地域を広げた実証、27年度に有償運行開始、28年度は一部区間でのレベル4(一定条件下での無人走行)運用、30年度の商用運行開始を目標に掲げる。将来的には、今回の取り組みで得た技術と知見を生かした運行を市内のニュータウン地区でも展開、高齢化による公共交通のドライバー不足問題などの解消につなげたい考えだ。

 来年1月の実証運行で試乗する人を募っている。応募できるのは、小学生以上、身長150センチ以上の神戸市民で、一般40人、親子ペア向けの「こども未来枠」10人の計50人を募集(申し込み多数の場合は抽選)。1エントリーにつき2人まで応募可。試乗の車内では、AIが周辺の酒蔵や地域の歴史を紹介する音声プログラムが試験的に流される。応募は神戸市の公式イベントサイト「おでかけKOBE」から。

左から神戸市の久元喜造市長、日産自動車のイヴァン・エスピノーサ社長、灘五郷酒造組合の嘉納健二理事長(2025年11月28日、神戸市東灘区の白鶴酒造資料館前)
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