【トルコ】運勢を「コーヒー」で占う? 世界が認めた“トルココーヒー”の背景にある奥深い文化とは

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 世界各国に多様な文化を持ち、人々を癒やす嗜好品の代表・コーヒー。なかでもトルコの文化である「トルココーヒー」は高く評価され、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。詳しい話をトルコ共和国大使館文化観光局の担当者に聞きました。

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 トルココーヒーは昔から受け継がれてきた技術や伝統が評価され、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されたとのこと。その具体的な特徴について担当者は「細かく挽いた豆を専用の小鍋で煮出し、ミルクは入れずに飲むのが基本です。カップの底に粉が沈むので、上澄みを少しずつ飲んでいきます」と説明。

トルココーヒー(イメージ)

 起源はオスマン帝国時代、スルタン・スレイマン大帝(1520年〜1566年)の頃だそう。16世紀半ばにはイスタンブールで庶民的なコーヒーハウスが生まれ、人々の社交の中心の場となります。その人気は次第に高まり、商人たちが国境を越えて豆を売買するようになると、その濃厚な味わいと独特な抽出方法はヨーロッパにも伝播していきました。

トルココーヒーを作る様子(イメージ)

 トルコにおいてコーヒーは食後に必ず振る舞われるほか、友人を家に迎える際もまず「コーヒーを飲むか?」と尋ねるのが基本なのだとか。同国には「1杯のコーヒーにも40年の思い出」ということわざもあるほどで、これは「たった1杯のコーヒーを一緒に飲んだご縁でも、ずっと大切にする」という意味を持つそうです。

「まずはコーヒーどう?」はトルコのお約束

 コーヒーを飲み終えてからの定番は「ファル」。カップに残る粉の模様で運勢を見る“コーヒー占い”です。カップをひっくり返して乾かし、できた模様を見ながら読み解くそう。「鳥が見えるから吉報が来そう」「犬の形だから友達が助けてくれるかも」など占いが上手だと人気者になれ、上手くなくても遊びの一環として楽しまれています。最近では模様を読み取るアプリまで登場。ファルがいかにトルコ人にとって身近であるかが分かります。

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 ことわざ・占いといった風習にも関係するトルコのコーヒー文化。これらの事実は、同国民にとってコーヒーが単なる飲み物ではなく「人と人をつなぐ絆」「大切な人と共有する時間の象徴」であるという事を示しているのかもしれません。

(取材・文=つちだ四郎)

トルコでは、カップに残るコーヒーの粉の跡で占いをする(イメージ)

【取材協力】トルコ共和国大使館・文化広報参事官室
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