主を失った築130年の蔵 解体・保存でなく「使い続ける」という選択 兵庫県赤穂市の古民家活用例

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 空き家や老朽化した古民家の扱いが全国的な課題となるなか、兵庫県赤穂市ではそうした物件の積極的活用の取り組みが生まれています。例えば武家屋敷跡に残る築130年の蔵が、いま人々に憩いを与える存在となっているとか。詳しく取材しました。

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 蔵は明治中期に建てられたもので、カフェとして再生させたのが濱尾萌夏さんです。かつて祖父母が暮らしていた母屋とともに管理されてきましたが、住む人がいなくなり活用方法が模索されていました。蔵が空き家となった当時、東京でデザイナーとして活動していた濱尾さんは「人の出入りがなくなると、建物は一気に傷んでしまう。どうにか残す方法はないか」と真剣に考えたといいます。

店内の様子 提供:MOMOCAFE
重厚感ある蔵カフェの内部(提供:MOMOCAFE)

 蔵の引き継ぎを決心した濱尾さんは、自身もリノベーションに参加しました。「自分の手で作業した方が愛着がわくと思い、専門的な建築経験は無かったものの挑戦しました」と振り返ります。蔵は市街地景観重要建築物に指定されていたため外観の変更には申請が必要で、改修には慎重な対応が求められました。工事にあたっては「外観を変えないこと」を前提に市への申請を重ねながら少しずつ改修を進め、完成までには2〜3年を要したそうです。

MOMOCAFE入口
蔵の外観はそのままにリノベーションされている(提供:MOMOCAFE)

 店内にも古い建具や家具を随所に使用しているといいます。トイレの扉は母屋のものを再利用し、カウンターは年季の入った箪笥(たんす)を組み合わせました。料理を盛る食器は蔵に保管されていた漆器です。濱尾さんは「すべてを新しくするのではなく、残せるものは残したかった」と、空間への強いこだわりを見せました。古き良き歴史の温もりがそこここに息づくカフェは人の往来を呼び、地元住民のみならず国内外の観光客も訪れるとか。

母屋の扉を再利用したトイレの扉
母屋の扉を再利用したトイレの扉(提供:MOMOCAFE)

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 老朽化した古民家は管理や維持の負担から解体されるケースが多々あります。だからといって、守るために「保存するだけ」では活用が難しく地域との接点を失ってしまうことも。濱尾さんのように「日常的に人が集う場として使い続ける」という選択は、地域資源の新たな活かし方として静かに注目を集めています。

(取材・文=洲崎春花)
※ラジオ関西「谷五郎の笑って暮らそう」2026年1月11日放送分より

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