神戸の老舗日本酒メーカー・菊正宗がクラフトジンを開発「人の気持ちに寄り添うお酒に」

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 江戸時代中期から約360年にわたり神戸市東灘区で酒造りを続ける菊正宗酒造が、世界4大スピリッツのひとつであるジンを開発した。日本国内では、さまざまな酒造会社が『クラフトジン』と呼ばれる独自のジンを製造する中で、老舗メーカーならではのこだわりや工夫などを取材した。

日本酒の老舗・菊正宗酒造が開発したクラフトジン『BESIDE』(画像提供:菊正宗酒造)
日本酒の老舗・菊正宗酒造が開発したクラフトジン『BESIDE』(画像提供:菊正宗酒造)

 ジンは、蒸留酒にヒノキ科の針葉樹・ジュニパーの実(ジュニパーベリー)を加えて風味付けした酒で、スパイスやハーブ、フルーツなどのボタニカル(植物素材)を加えることで、風味や甘み、香りなどの違いが出る。ヨーロッパ発祥とされ、日本国内でも地域の特色を生かしたクラフトジンの開発や製造が盛んに行われている。

 こうした中、老舗日本酒メーカーがクラフトジンの開発に挑戦したきっかけについて、菊正宗酒造の営業統括部・マーケティング課の田上翼課長は「ジントニックなどのカクテルは、若い人やお酒の入門として近年浸透している。若者の日本酒離れが進む中、まずはジンを飲んでもらって、ゆくゆくは日本酒や菊正宗を楽しんでもらいたいという思いから、開発に着手した」と語った。

大阪市内で開かれたお披露目会で、クラフトジン『BESIDE』の特徴などを説明する、菊正宗酒造・マーケティング課の田上翼課長
大阪市内で開かれたお披露目会で、クラフトジン『BESIDE』の特徴などを説明する 菊正宗酒造・マーケティング課の田上翼課長

 菊正宗が3年かけて生み出したクラフトジン『BESIDE』は、ジンに欠かせないジュニパーベリーをはじめ、コリアンダーやシナモン、アンジェリカ、オレンジピール、吉野杉という6つのボタニカルを使用。一般的なジンはボタニカルをまとめて蒸留するが、菊正宗は1種類ずつ個別に蒸留し、ブレンドする製法で作り出した。それにより、まとめて蒸留した際に出る重い香りや辛味が少なく、華やかな香りとやわらかい印象のジンに仕上がったという。酒樽の原材料でもある吉野杉を加えたところにも、日本酒メーカーならではのこだわりを感じられる。

 2025年11月25日に発売して以降、飲食店やバーなどから「やわらかくて激しすぎないので、アレンジしやすいと好評(菊正宗酒造・田上課長)」だという。このほど、バーや飲食店、報道関係者向けに開かれたお披露目会では、京都のバーテンダー・西田稔さんが考案したオリジナルカクテルを紹介。凍らせてシャーベット状にした菊正宗の『純米樽酒』に『BESIDE』を合わせ、ブルーキュラソーが入ったグラスに注いだ。西田さんは「“BESIDE”は素直なジンで、それを的確に届けられるカクテルにしたかった。家で楽しむなら水割りやお湯割りもおすすめ」とした。

菊正宗の『純米樽酒』とクラフトジンを使ったオリジナルカクテルをグラスに注ぐ バーテンダーの西田稔さん(左)と嘉納治郎右衞門社長(右)
菊正宗の『純米樽酒』とクラフトジン『BESIDE』を使ったオリジナルカクテルをグラスに注ぐ バーテンダーの西田稔さん(左)と嘉納治郎右衞門社長(右)

 菊正宗酒造の嘉納治郎右衞門社長は「お酒は、嬉しい時や楽しい時、悲しい時など、人の気持ちと共にあるもの。BESIDE(〜の隣に、側に)という名前の通り、人の気持ちに寄り添って、その人にとって大切な時間を共に過ごせるジンになれたら」と期待を込めた。その上で「酒造りの知見を生かして、今後も酒類業界を盛り上げていきたい」と話した。

菊正宗のクラフトジン『BESIDE』と同じ名前のオリジナルカクテルを味わい、感想を述べる 菊正宗酒造・嘉納治郎右衞門社長
菊正宗のクラフトジン『BESIDE』と同じ名前のオリジナルカクテルを味わい、感想を述べる 菊正宗酒造・嘉納治郎右衞門社長

 クラフトジン『菊正宗 BESIDE 700ml』は、参考小売価格4,500円(税別)で、インターネット販売のほか、菊正宗酒造記念館や小売酒販店などで販売している。

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