【説明会に本人登場】日本初 国際的アーティスト、サラ・モリスの大規模個展 大阪中之島美術館

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 現代アートをけん引する芸術家の1人、サラ・モリスの展覧会「サラ・モリス 取引権限(Transactional Authority)」が大阪中之島美術館(大阪市北区)で開かれている。国際的評価の高いモリスの日本初となる大規模個展で、30年以上にわたる創作活動を約100点の作品で紹介。開催に先立つプレス説明会にはモリス本人が登場、自身の芸術観などについて語った。

本展のために制作した「スノーデン」の前で写真撮影に応じるサラ・モリス(右)と大阪中之島美術館の菅谷富夫館長(左) 2026年1月30日午後、同美術館

 モリスは1967年英国に生まれ、ニューヨーク在住。本展では、モリスの初期から近年の代表作までを一挙に見ることができる。主要な絵画約40点、映像作品17点、ドローイング、大型壁画も含む多彩な構成で、ほとんどが日本初公開だ。芸術家の思索の軌跡をさまざまな角度からたどる構成となっている。

「フィルム・ポスター・ドローイング」シリーズ。名作映画のポスターにドローイングを施したもの。選ばれた映画はいずれも陰謀や秘密などをめぐる作品

 最大の見どころは、本展のために制作された大型壁画「スノーデン」(2026年)。モリスが同館で1月初旬からおよそ20日間かけて描いた大作で、高さ約6メートル、幅約19メートルの壁に、森や建築物をイメージした色とりどりの表現が展開する。同館の中村史子・主任学芸員は「『スノーデン』というタイトルと相まって、作中の白いドットは雪を想起する。一方で、アメリカの国家安全保障局によるプライバシー侵害を告発したエドワード・スノーデンを連想する人も多いだろう。いくつかの意味を1つのイメージに込めているところがモリス作品の興味深いところ」と指摘する。同作は本展のみの限定展示である。

「スノーデン」2026年 大阪中之島美術館にて制作

 大阪ゆかりの作品も注目される。モリスは2018年に大阪を訪れ、大阪を中心に関西各地で多様な風景を撮影、「サクラ」(同年)という映像作品に仕上げた。大阪城公園、新幹線のホーム、IPS細胞の研究施設、人形浄瑠璃の舞台、高速道路、繁華街、水族館、床屋などを旅人の視点で少しずつ切り取っている。それらをつないだ映像に音楽を重ね、私たちにとっても新鮮な場所として提示した意欲作だ。ほかにも絵画作品「金剛組」(2023年)は大阪・天王寺区に本社がある、世界最古ともいわれる建築会社を画題とし、「黒松《住吉》」(2023年)では自然物である黒松の枝をモチーフに線を重ね、ビビッドな画面をつくりあげている。

「金剛組」2023年 個人蔵
「黒松[住吉]」2023年 Kevin P. Mahaney Center for the Arts Foundation

 モリスが1990年代に発表した「サイン・ペインティング」シリーズは、街角で見かける標識や警告文を思わせる簡潔な言葉をモチーフにした絵画群。「BEWARE OF THE DOG(猛犬注意)」(1994年)や「NO LOITERING(たむろ禁止)」(同)といったフレーズの背景には、アメリカ社会における権利意識と自衛意識が見える。日常的な文言を抽象絵画に引き上げることで、そこに潜む社会的緊張を映し出す初期の代表作だ。

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