やわらかな筆致と温かい色彩で見る者を幸福感に包み込む画家、ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841–1919年)。誰もが知る、フランス近代絵画の巨匠の画業を一望する展覧会「生誕185年 ルノワール展」が山王美術館(大阪市中央区)でこのほど開幕した。ルノワールの豊かな感性とその生涯を、同館が誇るルノワール・コレクション51点(うち12点が初展示)でたどる意欲的な企画だ。7月31日(金)まで。

山王美術館は2009年にオープン。当初、ルノワールの所蔵数は少なかったが、体系的なコレクションの拡充を図り、現在では51点のルノワール作品を持つ。本展ではそのすべての作品を一挙公開している。また、エントランス橫のロビーには、ルノワールが手がけた貴重な彫刻作品も展示されている。

本展は5章構成。印象派のクロード・モネ(1840~1926年)らとともに取り組んだ、外光下での制作に始まり、古典への回帰、南仏カーニュでの制作、晩年の成熟を極めた色彩表現へと、創作の変遷をたどりつつ進む。女性や子どもの肖像、風景、静物、装飾画など多様なテーマが並び、ルノワールの多層的な魅力に触れることができる。

特に目を引くのは、画家の代名詞ともいえる裸婦像だ。初展示となる「噴水による浴女」(1914年)は、緑の中に座る裸婦が噴水から湧き出る水を手で受け止める様子が描かれている。丹念に重ねられた筆によって、女性の肌は透明感に輝き、背景の緑や流れ落ちる水と調和。美と愛を凝縮した世界が画面いっぱいに広がる。同作品は、「泉」(1910年ごろ、岐阜県美術館蔵)、「泉による女」(1914年、大原美術館蔵)と同主題だが、ほか2作品の裸婦が膝上だけの構図であるのに対し、「噴水による浴女」は全身を描いている。
そのほか「果物をもった横たわる裸婦」(1888年ごろ)、「裸婦」(1918年)などの優品も紹介。年代ごとの画家の境地が見て取れる。





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