朝に「パクっと!」地元の六条大麦でビタードーナツ 高校生の挑戦、商品化へ

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 兵庫県東播磨地域特産の六条大麦を使ったドーナツを、兵庫県立農業高校(加古川市)の生徒が開発した。商品名は「パクっと!麦(ばく)っと!ほんのりビタードーナツ」。3月9日から期間限定で販売される。

 今回の企画は、同校と製パン・製菓を手がけるオイシス(伊丹市)、JA兵庫南、兵庫県の4者による公民連携事業で、県が進める朝食など朝の活動を大切にする取り組み「HYOGOアサ@プロジェクト」とも連動する。令和4年度から始まり今回で4回目で、農業高校とのコラボは3回目となる。

 原料は、東播磨地域で生産される六条大麦を米粒状に加工した米粒麦(べいりゅうばく)「シュンライ」。六条大麦は主に麦茶として利用されてきたが、近年は消費拡大が課題となっている。2019、20年の豊作をきっかけに、「食べる大麦」としての活用が模索されてきた。

 今回は「米粒麦を使用した、朝食にぴったりな焼き洋菓子」をテーマに、食品科学科2年生32人が昨年9月から商品開発授業をスタート。商品コンセプトの立案から試作、マーケティング、ネーミング、パッケージデザインまでを一貫して手がけた。6班に分かれて提案した中から、「ほんのりビターな味わいのドーナツ」案が選ばれ、オイシスの協力を得て商品仕様へと磨き上げた。

高校生が商品開発に携わった「パクっと!麦(ばく)っと!ほんのりビタードーナツ」

 ドーナツを選んだ理由について川本薫実さんは「朝食は片手で手軽に食べられるものがいいと思った」と話す。

 だが開発は簡単ではなかった。「米粒麦の固さが一番の壁でした」と小西沙枝さん。最初は一晩水に浸したが柔らかくなりすぎ、ゆで時間や配合を調整しながら試作を重ねた。市村勇吾さんも「加熱時間の調整が難しかった」と振り返る。

 味づくりでも試行錯誤が続いた。寺谷優樹菜さんは「チョコチップだけでは物足りなかった」と話し、最終的にアーモンドを加え、コーヒーの濃縮液を練り込んだ“ほんのりビター”な仕上がりにたどり着いた。

 ネーミングを担当した藤原環奈さんは、店頭の商品名を研究し、「朝ごはんを手軽に、という意味で『パクっと』を入れた」と説明。チラシデザインを手がけた吉延千春さんは「朝と笑顔」をイメージし、青空に太陽と雲をあしらってドーナツを際立たせた。そのデザインについて、県の広報プロデューサーは「非常に素敵」と評価した。

(※吉延さんの「吉」は上が「土」)

2026年3月3日、兵庫県庁での商品発表記者会見に生徒代表で参加した、兵庫県立農業高校2年生の生徒たち。写真前列左から、藤原環奈さん、小西沙枝さん、寺谷優樹菜さん。後列左から吉延千春さん、市村勇吾さん、川本薫実さん

 生徒たちは達成感をにじませる。小西さんは「自分たちの考えたものが商品になって驚きとうれしさがある。食べた人が『また食べたい』と思ってくれたら」と笑顔を見せた。

 進路については「農業系や食品系の企業に就職したい」という声もあれば、「まだ模索中」という生徒もいる。それぞれが将来像を思い描く中、今回の経験は一つの糧となったようだ。「もっとお菓子のことを学びたい」と話す寺谷さんは、一連の授業が「タメになった」と振り返った。

自ら開発したドーナツを実食する生徒たち(2026年3月3日、兵庫県庁での商品発表記者会見より)

 高校単独では難しい「商品化」「販売」までを見据えた実践的な取り組みとなり、村中利章校長は「課題を見つけ、解決策を考え、実践する経験ができたことは大きい」と語る。

 サポートした3者も生徒の取り組みを評価した。そのうえで、JA兵庫南は大麦消費拡大への期待を示し、オイシスは地域の農業や食文化への関心を深めたいとした。県も、若年層の朝食欠食改善につながることに期待を寄せた。

 販売は、オイシスが運営するベーカリー「マザーバスケット」県内7店舗と、JA兵庫南の直売所「にじいろふぁ~みん」(加古郡稲美町)で行う。全店舗あわせて約900個を販売し、なくなり次第終了。発売初日の3月9日午後2時からは、マザーバスケット加古川店で生徒による試食販売も予定している。

写真左から、兵庫県の企画部SDGs推進課長・佐城永修さん、兵庫県立農業高校の村中利章校長、株式会社オイシスの取締役生産本部長・植村幸治さん、JA兵庫南(兵庫南農業協同組合)代表理事組合長の野村隆幸さん(2026年3月3日、兵庫県庁での商品発表記者会見より)
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