土壇場の同点弾に見えた“連係の進化” ヴィッセル神戸、若手絡む一撃に成長の証

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 サッカー・J1のヴィッセル神戸は18日、J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第7節でガンバ大阪とホームのノエビアスタジアム神戸で対戦し、90分の戦いでは2-2と引き分け。その後のPK戦で敗れ、リーグ戦3連勝はならなかった。しかし、土壇場に生まれた起死回生の同点弾が、チームの“連係の進化”を示した。

 この一戦でヴィッセルは、大迫勇也選手、武藤嘉紀選手、酒井高徳選手と、主軸3選手が欠場。序盤に小松漣選手の3試合連続得点で先制したが、「特に前半はボールを握られる時間帯が長かった」と、GK前川黛也選手。相手のパスワークやプレッシングに翻弄され、前半のうちに同点に追い付かれるなど、苦戦を強いられた。

 MF濱崎健斗選手(※「崎」=たつさき)が投入された後半からは立て直しを図るも、73分に主軸の1人、MF佐々木大樹選手が負傷交代。すると、83分にカウンターから失点。ホームチームは苦しい状況に追い込まれた。

 86分にFWジェアン・パトリッキ選手、89分に長身DF山田海斗選手を送り込むなど、ミヒャエル・スキッベ監督は交代枠をフル活用し、反撃に出る。その采配が、土壇場で実った。

 アディショナルタイム4分のプレーは、左サイドバックのDF永戸勝也選手のクロスフィードが起点。それに、逆サイドで攻めあがっていた山田選手が競り勝つ。「負けていて、状況的にも点が欲しいなか、僕が(右サイドの)内に行って、競って、ケント(濱崎)がクロスだったりというのは、話をしていた」(山田選手)。

 そのパターンが実行されると、この日、切れ味鋭い動きを見せていた濱崎選手が左足でゴール前に絶妙のクロスを送り込む。「自分が持ったときにカットインのクロスというのは意識していた。あの場面は、ちょっと距離が遠かったので、インスイングというよりかは、ストレート気味のボールで上げた」(濱崎選手)。

 これにファーサイドで反応し、ダイビングヘッドで合わせたのが、パトリッキ選手だ。「ケント(濱崎)は育成出身で、何年も前からトップチームに参加しているので、彼のクオリティーは前から知っていた。彼が持ち運んだとき、いいクロスが上がってくると、いつも信じて走り込んでいる。そのとおりのボールが来たので、自分はいいところにスペースを見つけて、得点を取ることができた」(パトリッキ選手)。

 ホーム・ノエスタが、ヴィッセルサポーターの大歓声で最高潮に盛り上がったワンシーン。実は、以前の試合での反省がいかされたプレーだった。攻撃の起点となった永戸選手が次のように明かす。

「個人的には、清水戦のときもカイト=山田海斗選手が最後に出てきたんですが、監督からの指示としては、彼の高さを使って最後押し込みたいという意図があった。しかし、なかなかチームとして浸透しないまま、清水戦が終わってしまった。今日、久々にそういう展開になったとき、広瀬(陸斗)選手と交代して(山田選手が入ってきた)意図を僕も感じた。角度的に僕からああやってサイドチェンジを入れることによって、監督の狙いとともに、相手のウイーク(ポイント)もつけるかなと狙っていた。清水戦からの反省をいかせて、狙いどおりにできたこともよかった」(永戸選手)

 アカデミー出身の若きホープ2人を含めた、新たに出番を得た選手が結果を出したという面でも、チームには明るい材料となった。

「途中から入った選手たちがああやってゴールに関わってくれることは素晴らしいこと。いい準備をしていたからこそ結果が出たと思う」(永戸選手)

「途中交代の選手がかなり絡んで得点までつなげてくれた。交代選手が活躍するのはチームとしても素晴らしいこと。競争という部分でもいろんな選手に火が付くと思う。結果でも助けられたし、チームとしてもいい流れかなと思う」(山川哲史選手)

「あの2人(濱崎・山田)は、若いからというのではなく、1人の選手としてどんどんよくなっている。これからもその2人がどんどん背負っていけるようなチームになればと思うし、僕たちもサポートしながらその2人が活躍できるような環境にしていければ」(前川選手)

 さらに、スキッベ監督は、濱崎・山田の両選手や、同点弾のパトリッキ選手を称えたのはもちろんのこと、「彼らだけではなく、タカシ(乾貴士)が入ってきたことで、彼が出せるインパクトをすごい出してくれたし、彼の仕事も大事だったと思う」と、これまで出番に恵まれていなかったベテランのピッチでの功績も評価していた。

 ヴィッセルは過密日程や負傷者を抱える中でも、シーズンで見えた課題を1つ修正できた。また、新加入FW内野航太郎選手もデビューを飾り、今後への期待を抱かせた。

 濱崎選手は「自分もこの試合で(アシストの)結果を残せたことで、自信にもつながるし、次にいいプレーをつなげていきたい」と前を向いた。

 この収穫をさらに実りあるものにするためにも、すぐにやってくる22日のセレッソ大阪戦(ヨドコウ桜スタジアム)でのヴィッセルの戦いに注目が集まる。

MF濱崎健斗選手(写真:ラジオ関西)※2026年2月3日に撮影
DF山田海斗選手(写真:ラジオ関西)※2026年2月3日に撮影
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