すっかり寒さも厳しくなり、『味覚の秋』は終わってしまうが……、ご心配なく。兵庫県には、冬にも美味しいものが盛りだくさん! 旬を迎える「淡路島3年とらふぐ」をご紹介しよう。
「3年とらふぐ」は、その名の通り、淡路島の南、福良港沖の鳴門海峡で“3年間”丹精込めて育てられたふぐのこと。ふぐは、通常の養殖では2年かけて出荷されるが、さらにもう1年 “過保護に” 育て上げる。
この1年の違いが重要で、大きさも、そして味も、さらには白子の濃厚さも格段に良くなるのだそう。「天然もの」に引けを取らない肉質と身の締まりが特徴だ。
通常の2年モノのとらふぐは、全長およそ30センチ、重さは800グラム前後。一方、この「3年とらふぐ」の全長は、2年モノよりも15センチも大きい全長およそ45センチ。重さは1.2~1.8キログラムにもなる。特に重さは、およそ倍に成長するから驚きだ。
代表的な食べ方である“てっさ(ふぐ刺し)”で味わう。身は透明で薄いピンク色。旬の時期には七色に光って見えることもあるという。薄く切り、大きなお皿に美しく盛り付けられた様子は、もはや芸術品の域。ポン酢と紅葉であっさりといただくと、コリコリとした食感に甘みと、ふぐ本来の旨味が楽しめ絶品だ。噛めば噛むほど甘みを感じられる。白子も、舌でその濃厚さをしっかりと感じることができる。
次に“てっちり(ふぐちり鍋)”。昆布からとったシンプルな出汁で、野菜や豆腐と一緒に火を通していく。驚くほど骨が太く、身が大きい。ふぐのサイズの固定観念は一気に崩れ去っていく。こちらもポン酢であっさりと。“てっさ”で楽しめたコリコリした触感はなくなり、淡白でふわっふわの身と野菜のみずみずしさのハーモニーが楽しめる。おすすめのしめ方は、“ぞうすい”だそう。ふぐと野菜の旨味が溶け出した出汁で楽しむぞうすいは感動を覚える。