外来生物を知り考える 未来の自然のために 「知るから始める外来生物」展 大阪市立自然史博物館 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

外来生物を知り考える 未来の自然のために 「知るから始める外来生物」展 大阪市立自然史博物館

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 私たちの身の回りにいる外来生物。それをすべて駆除するのは現実的ではない一方で、放置するのも責任ある態度とは言えない。外来生物問題についての基礎知識と現状を通して、どのように対応し付き合っていくか、地域の自然をどのように未来に残していくかをテーマにした特別展「知るから始める外来生物〜未来へつなぐ地域の自然〜」が、大阪市立自然史博物館ネイチャーホールで開催されている。

 外来生物とは何か? 「本来の生息域ではない場所に人間によって運ばれ、人間の管理下を離れたもの」。経済活動が活発になるとともに増加している。セアカゴケグモやヒアリなどは記憶に新しい。

 外来生物が入ると、元々の生態系に大きな影響を与える。迅速な対策をとらないと元に戻すのは難しく、定着してしまうと不可能に近いという。

 大阪市立自然史博物館によると、大阪府内で確認された外来生物は植物だけでも740種。例えば、ある公園で外来植物をすべて駆除すると、ほとんど残らないのではないかというほど、外来生物は身近なところにたくさんいる。

 大阪市立自然史博物館が2015年から2019年にかけて行った市民参加型の外来生物調査によると、最近大きな問題になっているのがアライグマ。北アメリカ原産。1970年代にテレビアニメが放映されて以降、ペットとして輸入が増加した。ただアライグマは攻撃的な気性で飼育は難しく、逃げたり捨てられたりして2006年になると47都道府県で確認された。

アライグマ
アライグマ

 大阪では2000年に最初に確認された。当初は山地周辺を中心に限られた場所だったが、近年都市部にも進出し、自然史博物館がある長居公園周辺でも確認された。アライグマは、農作物への被害や、家屋に侵入しての文化財などへの被害、感染症への懸念など、人への影響だけでなく、サンショウウオ類やカメ類など水辺の小動物の被害が深刻になっている。

 また、南アメリカ原産の大型のネズミ・ヌートリアも問題となっている。戦時中に毛皮用として持ち込まれ、各地で飼育されていた。戦後、毛皮の需要が減ると野外に放され、当初は岐阜と岡山だけで定着したが、2000年以降広い範囲に広がり、2019年には岐阜・愛知の濃尾平野から山口までの本州と香川のいくつかの島で定着した。泳ぐ、しかも海を渡ることができるので、今後九州や四国に広がる可能性もある。

大型のネズミ・ヌートリア
大型のネズミ・ヌートリア

 大阪では2000年に淀川で初めて確認された。その後、大阪城の外堀や淀川の支流や猪名川水系にも広がり、山間部でも確認されるようになった。自然史博物館には市民から目撃情報が寄せられるというが、「ビーバーがいる!」「カワウソを見た!」「カピバラがいた!」というものもあるそうだ。ヌートリアは、イネや畑の作物を荒らし、イシガイなどの希少な2枚貝を食べることがわかっている。


大阪市立自然史博物館 第50回特別展
「知るからはじめる外来生物〜未来へつなぐ地域の自然〜」

会期 2020年6月9日〜8月30日 
休館日 月曜(ただし8月10日は開館)
会場 大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール(大阪市東住吉区長居公園1-23)
電話 06-6697-6221
観覧料 大人500円、高校生・大学生300円、中学生以下と大阪府内在住の65歳以上は無料

※新型コロナウイルス感染症の拡大状況次第では会期途中で臨時休館の場合あり

http://www.mus-nh.city.osaka.jp/

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PUSH! | ラジオ関西 | 2020/06/16/火 16:30-17:35

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