ベトナム総領事館の領事に現金を渡し、書類の発行に便宜を図ってもらおうとしたベトナム人の男(55・神戸市長田区)が、外国の公務員への賄賂を禁じた不正競争防止法違反容疑で25日までに兵庫県警に書類送検された。男は神戸簡裁から罰金50万円の略式命令を受けた。
男は2018年1月~2月、来日を控えたベトナム人男性2人から依頼を受け、2人が独身であることを示す証明書を不正に発行するよう便宜を図ってもらうため、在大阪ベトナム総領事館(大阪府堺市)の当時の領事に賄賂として現金合わせて20万円を渡した疑いが持たれている。この証明書は来日した外国人が日本の自治体に婚姻届を提出する際に必要な書類。本来はベトナム本国で証明書を取得しなければならず、日本の総領事館では発行できない。
男は15年前からベトナム人の在留資格取得の代行業を営み、兵庫県警の任意捜査で「領事に賄賂を渡せば証明書を発行してもらえると思った」と容疑を認めたという。
なお収賄側とされる外国公務員を罰する法律上の規定はなく、領事は2019年4月に出国したため兵庫県警は事情を聴けていない。
兵庫県警では2019年12月にも、書類の発行に便宜を図ってもらおうと福岡市にある総領事館の領事に現金を渡した神戸市内居住のベトナム人の女を逮捕している。