姫路市で会社員の女性(24)が刃物で刺されて死亡した事件で、兵庫県警に殺人容疑で逮捕された住所不定、アルバイトの男(36)が「 別れ話で口論になった 。(女性を) 殺すつもりで部屋にあった包丁を持ち出し腹を刺した」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。男の身柄は14日、神戸地検姫路支部へ送られた。
2人はかつて姫路市内の飲食店で一緒に働いていた。女性は6月9日に「『知り合いの男』に自宅で顔に殴られ、目がはれている」として飾磨警察署(姫路市)に電話で相談。女性は「買い物へ行くとか行かないとか、ささいなことで口論になった」などと話し、飾磨警察署は被害届を受理。同時に傷害容疑で男の逮捕状を取っていたという。捜査関係者によると、住所不定とされる男は女性の自宅に頻繁に出入りしていたというが、この時から男の所在がわからなくなった。
飾磨警察署は最悪のケースを想定して 女性に対し▼110番通報登録(つきまといや待ち伏せ、交際の強要といったストーカー犯罪や、配偶者などからの暴力=DVの被害者が、電話番号などを事前に登録しておく制度)の奨励▼実家への避難措置▼同居する6歳の長男の保育園への送迎を他人にはさせず、母親である女性自身がする、などの防犯指導を行っていたが、女性は6日後の15日になり被害届を取り下げたいと申し出た。
こうしたケースでは対応する警察官が「相手との時間・空間を離すために」接近することを固く禁じるが、捜査関係者によると女性は被害届を取り下げる前にも男性と会い、自宅に入れるなどしていたとみられるという。
■警察へ被害届も「警察の捜査に協力する気はない」 介入拒む
飾磨警察署は、トラブルとなった男ら第三者が女性に圧力をかけ、強制的に被害届を取り下げさせようとした可能性もあるとみて、女性に支援や保護を継続すべく説得を重ねたが、今回のケースは女性自身の意思で「最初から(男を)処罰するつもりはない」「警察の捜査に協力する気はない」「面倒くさい」などと執拗に警察の介入を拒み、けがの診断書を出すこともなかったという。
女性は2017年以降、男女間のトラブルを理由に少なくとも5回、警察相談をしているが、トラブルとなった相手はすべて異なる男性だった。
男は調べに対し、女性について『自分の彼女』と呼び交際していたと供述しているが、女性はあくまでも6月9日の相談の際、男について『知り合い』 という表現にとどめており、兵庫県警は交際のうえで双方の認識に違いがありトラブルにつながった可能性も視野に捜査している。