元バレーボール女子日本代表監督の柳本晶一氏が、9月23日、「食とスポーツのオータムフェスティバル」(兵庫県洲本市)で行われた、ラジオ関西『週明けクマチャンネル』の公開生放送に出演した。
パーソナリティーを務めるワタナベフラワーのクマガイタツロウが「恐いイメージがあるんですよ」と伝えたところ、柳本氏は「初対面の人に会うと必ず言われるんですよ(苦笑)。あれはテレビが悪いんです。選手をしごいているところばかり、リピートされるから。あと、『意外と大きいんですね』って言われるんですが、大きい女子バレーの選手のなかにいたから、小さく映っているんですよ」と語る通り、本人は大きく、冗談好きで気さくな人だ。
柳本氏が代表監督に就任した頃、バレーボール女子日本代表はどん底と呼ばれて低迷していたため、指揮官はチームの作り方を変えた。それまでは、日立やNECなどの単独チームが主体になっていたのを、複数のチームから選手を選抜して代表を作る形に切り替えた。「監督になったとき、協会からは『(選抜は)君に任すけど、こんな選手は使うなよ!』って言われたのが、吉原知子と竹下佳江だった」と、意外なエピソードも披露。続けて「ただ、協会が言うのも無理はないんです。もう時効だと思うから言うけど、高橋みゆきも含め、この3人はホント扱いにくいんですよ」と本音が漏れ、会場から笑いが起こった。
「ただ、この3人に共通するのは、挫折を経験していること。だから、ここっていうときに逃げない。本当に勝負のつらさとか怖さが身に染みている選手を入れておくことで、チームは下支えができるんですよ」と、彼女らが柳本ジャパンで活躍した理由を語った。
チームをまとめる難しさについて柳本は「女性の集団は難しい! 家内ひとりでも大変やのに、女子バレーやって、髪の毛真っ白になりましたから」と笑いを誘うと、「バランスが難しいですね。どうしても感情があるから。『メグカナ(栗原恵・大山加奈)だ!』と騒がれたときも、みんな彼女らの時代が来ることはわかっているけど、他の選手は面白くないわけですよ。そうするとガスがたまってくるので、私が代表して、大山選手を怒るわけです。たぶん、このときの映像を見て『恐い』と思われているんだと思いますが、実は選手の調和を図るためにやっているんです」と語った。
監督と選手の関係についても柳本は「監督というのは理不尽なこと言うじゃないですか。取れないのに『もう20センチ先の取れ!』とかね。やっぱり選手は壁を乗り越えていかなければいけないので、チャレンジさせるんです。それをやっていったら1㎝とか徐々に伸びるんですよ。選手と指導者の違いというのは、明日パッと自分が変われるのが選手で、それを変えてあげるのが指導者だと思うので。ちょっと伸びた瞬間を見逃さずに、褒めるとか支えるとか、それが僕の仕事だと思っています」と持論を述べていた。