捨てるのはもったいない!関西の文化・酒粕を中華やフレンチに昇華「酒粕プロジェクト」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

捨てるのはもったいない!関西の文化・酒粕を中華やフレンチに昇華「酒粕プロジェクト」

LINEで送る

この記事の写真を見る(12枚)

 日本酒を造るときに出る「酒粕」をご存じだろうか。

 そもそも酒粕を食べたり、料理に使ったりといった習慣は、関西独自の文化だそう。「和」のイメージが強い酒粕だが、意外にもそうではない。アレンジと工夫次第では、どんな食やスイーツにも応用することにできる、魅力的な食材なのだ。和食はもちろん、中華やフレンチでも酒粕は活躍することができる。

 このように、酒粕の新しい使い方を提案して、より酒粕の文化を広めることを目指した「酒粕プロジェクト」は、「酒粕の文化を絶やしてなるものか!」と、2015年に始まり、今年で6年目。大吟醸が造られるなど、日本酒の生産が最盛を迎えるこの時期に身体を温めてもらおうと、毎年2月に行われており、今では、神戸の冬の風物詩になった。

福寿・酒粕
福寿・酒粕

 そもそも酒粕とは、日本酒を造るうえでの副産物。捨てられてもおかしくないものなのだが、タンパク質、ビタミン、食物繊維……など、栄養がたくさん含まれていて、捨てるのはもったいない。「S-アデノシルメチオニン(SAM)」という成分は酒粕にしか含まれていないことがわかっている。「かす」という表現はもったいないくらいなのだ。

 今年の酒粕プロジェクトは、これまでの”神戸”という枠を取り払った。テーマは「各ジャンルの匠なら酒粕をどう使ってアレンジするのか」だ。酒蔵はもちろんのこと、チーズ、味噌、バー、中華、フレンチ、和食、ラーメンの各ジャンルのエキスパートが近畿地方から終結し、酒粕の新しい可能性にチャレンジ。さらにこれに加えて女子大生も肩を並べて酒粕の新しい美味しさを表現する。その概要を紹介していこう。

和食からフレンチまで、各界のエキスパートが酒粕の可能性を再発見!

1.中華料理:「紅宝石(コウホウセキ)」
【鶏とネギの酒粕蒸し】

紅宝石はトアウエストにある老舗中華店。その技術は素晴らしく、広東家庭料理から宮廷料理まで幅広く提供する。これまで本格的な中華料理で酒粕を用いた例はほぼ見られず、もしや、日本初の挑戦になるだろう。

2月1日から「鶏とネギの酒粕蒸し」(1,500円)を中心に、酒粕を添えた焼豚や酒粕を用いた春巻、肉団子などもメニューになる予定。

「鶏とネギの酒粕蒸し」は、鶏とネギという、比較的あっさりした組み合わせを酒粕で蒸すことで、ふっくらとまろやかになり、酒の香りにより食欲も増す。紅宝石の焼豚はそもそも厚切りで、旨みが凝縮されているのだが、酒粕と一緒に食べることで、酸味と甘みが加わり、素材の良さが引き立つ。さっぱりと食べられる一品だ。

■紅宝石
住所 神戸市中央区下山手通3-5-9
電話 078-331-6162
営業時間 11:30~14:00、17:00~21:00
休日 火曜

鶏とネギの酒粕蒸し
鶏とネギの酒粕蒸し
酒粕を添えた焼豚
酒粕を添えた焼豚

2.フランス料理:「キュイジーヌフランコジャポネーズマツシマ」
【本日のお魚のブレゼ酒粕、大根、里芋のポトフ】
【酒粕ショコラ】

日本の風土をまとうフレンチをと考え、松島シェフが和と仏をうまく融合させた独自路線を考案。いかに酒粕をフレンチの中で用いるのかが楽しみだ。同店では、8,800円のコース料理内にて「本日のお魚のブレゼ酒粕、大根、里芋のポトフ」を組み込む予定。さらに、各コースのデザートとして「酒粕ショコラ」も登場する。

■キュイジーヌフランコジャポネーズマツシマ
住所 神戸市中央区山本通3-2-16ファミールみなみビル1階
電話 078-252-8772
営業時間 12:00~13:30L.O. 17:30~20:00L.O.
休日 月曜

「キュイジーヌフランコジャポネーズマツシマ」の松島朋宣シェフ
「キュイジーヌフランコジャポネーズマツシマ」の松島朋宣シェフ
「日本料理かわもと」の料理人、川本徹也さん
「日本料理かわもと」の料理人、川本徹也さん

3.日本料理:「日本料理かわもと」
【のし梅とアボカドを酒粕で挟み、天ぷらにしたもの】
【純酒粕酢「三ッ判山吹」で作る炊き寿司】

かつて、あべの辻調理師専門学校で教壇に立ち、外国での日本大使館の公邸料理人をも務めた経験を持つ川本徹也さんが酒粕にチャレンジ。自店の2月の献立に酒粕を用いた一品をコース内に入れて2月の献立組みを行う。予定している料理はのし梅とアボカドを酒粕で挟み、天ぷらにしたもの。この料理は8,000円の会席料理内の八寸で楽しめる。また、純酒粕酢「三ッ判山吹」で作る炊き寿司は、3月もしくは4月の献立内で登場させる計画になっている。

■日本料理かわもと
住所 神戸市東灘区岡本1-3-31サン岡本地下1階西号室
電話 078-431-1231
営業時間 11:30~14:30、18:00~21:00 ※要予約
休日 月曜(昼は月・火曜)

4.ラーメン:「うまい麺には福来たる」
【酒粕香る四重奏鯛湯】

とんこつ一辺倒になりがちなラーメン業界に、あえて鯛だしで勝負をするのが「うまい麺には福来たる」だ。日本酒の製造過程から生まれた酒粕と同様に、同店の鯛スープもエコな発想でできたもの。「使いやすい味噌で作らず、塩で調味し、酒粕をかえしに使いたい」と挑戦意欲を窺わせている。「酒粕香る四重奏鯛湯(950円)」と題された今回の酒粕ラーメンは、2~3月の間で販売予定。鯛スープ(魚介系)、鶏白湯(動物系)、豆乳(植物系)の三つのエッセンスが入った珍しいラーメンで、それらのスープを酒粕で味を調えている。

つまり、何が「四」重奏かというと、鯛・鶏・酒粕・豆乳、の四つだ。クリームチーズも加えられ濃厚でとろっとしたスープがよく麺と絡む。いくらが添えられ、塩味をプラス。値段以上に満足感の高い逸品に仕上がっている。

■うまい麺には福来たる西中島店
住所 大阪市淀川区西中島5-9-2新大阪サンアールビル東館1階
電話 06-6309-0141
営業時間 11:30~15:00、18:00~22:00
休日 不定休

うまい麺には福来たる
うまい麺には福来たる
LINEで送る