淡路島5人刺殺事件 大阪高検、上告断念 1審死刑判決破棄7件目、無期懲役確定へ

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 淡路島・洲本市で2015年3月、男女5人をサバイバルナイフで刺殺したとして、殺人と銃刀法違反の罪に問われた男(45)について、1審の裁判員裁判の死刑判決を取り消して無期懲役とした大阪高等裁判所の控訴審判決に対し、大阪高検が期限の10日までに上告を断念した。これで男の無期懲役が確定する。

大阪高検
大阪高等検察庁

 裁判員裁判の死刑判決を控訴審が取り消したのは7件目で、このうち5件は最高裁判所が控訴審の判決を支持し無期懲役が確定している。

 大阪高裁は2020年1月27日、男について、向精神薬を長期間服用した影響で薬剤性の精神病に陥ったが責任能力はあったとする1審・神戸地方裁判所の裁判員裁判の判決を破棄。そして重い妄想性障害のもと犯行を思いとどまる能力が著しく低い「心神耗弱」状態だったと指摘した。刑法では被告が心神耗弱だった場合、刑を軽くすることを定めている。また大阪高裁は「1審の判決は裁判員との的確な評議の結果」と評価しながらも「1審の精神鑑定が必ずしも信用できるものでない」とした。

大阪高裁
控訴審の死刑判決破棄、大阪高裁ではこれまでに3件が言い渡された

 相次ぐ1審の死刑判決破棄について甲南大学法科大学院・渡辺修教授(刑事訴訟法)はこう指摘する。

「1審の裁判員裁判は一定の限られた期日で評議、評決をして死刑という重い決断をした。その記録が送られてくる控訴審はじっくり隅から隅まで時間をかけて記録を検討できるだけに(控訴審の)裁判官はその穴をつつくだけのものになってはいけない。一方的な見方で死刑を破棄されるべきではない。裁判員裁判にとってまた1つ重たい足かせがはめられてしまったが、これから裁判員に選ばれる市民の皆さんにはこれこそ極刑(=死刑)にふさわしいという判断をした場合は堂々と死刑宣告をすべきではないか」

 被告側も期限の10日までに上告しなければ無期懲役が確定。 刑事訴訟法では、仮に被告側だけが上告した場合でも、控訴審の判決より重い刑罰を科すことができないと定めているため、男の死刑の可能性はなくなる。

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