【高橋】 才丸と称して朝日城の荻野十八人衆のところに養子に入ってからです。
【田辺】 養子に入った荻野家で力を蓄えていくわけですか?
【高橋】 そうです。荻野の本家黒井城主が荻野秋清です。秋清は直正を養子として迎えることを了承していたのですが、朝日城に入るときに一族の中に「納得がいかない」という者がいました。それでも、直正の父が「直正が養子に入るが、一族の中に受け入れられないという者がいるようだが、こちらにも考えがある」とおどしをかけ、うまくいったようです。
【田辺】 荻野の本城は黒井城ですね。
【高橋】 秋清は平地の居館、留堀城にいました。今の市島。黒井城の北2キロくらいのところです。
【田辺】 荻野の総帥に取って代わりますね。
【高橋】 天文23(1554)年正月の2日、年始の挨拶に行ったとき、直正が刺殺したとか家来が切りつけたとかいう逸話が残っています。
【田辺】 荻野家の総帥を刺殺した場所は留堀城ですか?
【高橋】 黒井城だという説もありますが、黒井城のような山の上で正月を迎えるわけではないので、留堀城だと思われます。
【田辺】 1554年から直正が荻野の総帥になって行ったということでしょうか?
高橋成計『明智光秀を破った「丹波の赤鬼」 ~荻野直正と城郭~』(神戸新聞総合出版センター)
定価 本体2,300円+税
発行日 2020年2月
ページ 240ページ
ISBN 978-4-34-301061-2
神戸新聞総合出版センター
https://kobe-yomitai.jp/book/1007/
『ラジオで辿る光秀ゆかりの兵庫丹波』2020年4日30日放送回