■文政年間にコレラ退散のいわれ
宮司の別所賢一さんは「新型コロナウイルス、大変厄介な疫病です。少彦名神社には、コレラの最初の世界的大流行が日本に及んだ1822(文政5)年に、虎の頭の骨を配合した『虎頭殺鬼雄黄圓(ことうさっきうおうえん)』という丸薬を作り、お守りの張り子の虎を配ったところ、病気が平癒したといういわれがあります。新型コロナウイルスの影響で皆様が大変不安な思いでいらっしゃるのですね。今年2月ごろから参拝に来られる方が増えました。医療関係やお薬に関わるお仕事をされている方々のお参りも多いのですが、道修町のみならず全国の製薬会社にワクチンや治療薬の研究、開発、供給を進めていただいてこの疫病の一日も早い収束を、と日々祈願しています」と話す。
■「いまから帰省」「薬剤師として」参拝客も思いはさまざま
「いまから東京の実家に帰らなければなりません。遠隔地への移動は自粛しなければなりませんが、やむを得ない事情があって…。だから帰省前にこちらにお参りしてその報告と新型コロナウイルスの収束をお願いしました(20代・大学生男性)」
「この近くに勤めています。と言うとおわかりかもしれません。製薬会社の企画部門に所属しています。御朱印集めも趣味なんですが、この時期は短時間でお参りして、収束を祈願しました。私たちがこの時期にどう向き合わなければいけないのか考えさせられます(50代・会社員男性)」
新型コロナウイルス感染症の治療薬として抗ウイルス薬「レムデシビル」をアメリカが認可したことを受け、厚生労働省が海外での承認などを条件に緊急時に審査手続きを大幅に短縮できる「特例承認」を適用し、5月7日にわずか3日でスピード承認され国内初の新型コロナ治療薬となった。
同じく新型コロナ治療薬の候補である国内メーカー開発の抗インフルエンザ薬「アビガン」については、現時点で海外での販売見通しが不透明なこともあり、特例承認の対象とせず国内での治験を進めている。