「数字のスポーツ」に魅了され… プレーは苦手も野球にハマった1ファンが大好きなMLBを語る(1)

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 プレーは苦⼿も、野球・ベースボールの魅⼒にとりつかれた1⼈の男性社員(兵庫県在住)が、僭越ながらメジャーリーグ(MLB)を語るコラムをスタートします。初回のテーマは、“数字のスポーツ”野球の魅⼒について、少しお話させていただきます。

MLB

◆ようやくスタート、野球新シーズン

 6⽉19⽇、今季の⽇本プロ野球(NPB)が開幕しました。無観客試合ではあるものの開幕を待ちわびていたプロ野球ファンは、贔屓チームの試合やプロならではのプレーをテレビやラジオ、配信などを通じて観戦し、飢えていた野球観戦欲を少しずつ満たしていることでしょう。

 ⽇本の開幕から遅れること1か⽉。7⽉23⽇もしくは24⽇に、野球の本場アメリカでもメジャーリーグが開幕を迎えます。新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡⼤している中での開幕ということで、選⼿会との交渉はかなり難航し、2020年シーズンの開幕は⾮常に難しい決断だったと思われます。MLB機構側が提⽰した健康⾯と安全⾯の規定を選⼿会が受け⼊れ実現となったのですが、メジャーリーグファンとしては世界最⾼峰のプレーを今年も⾒れることに喜びを感じます。今年は⽇本⼈9選⼿の活躍にも注⽬です。特に初挑戦となる筒⾹嘉智選⼿(タンパベイ・レイズ)、⼭⼝俊選⼿(トロント・ブルージェイズ)、秋⼭翔吾選⼿(シンシナティ・レッズ)がどのようなプレーを⾒せてくれるのか楽しみです。

◆MLBは、数字の宝庫!

 そもそも、平凡なセカンドフライのキャッチすらままならないほど野球(のプレー)が苦⼿な私が、どうしてここまでメジャーリーグにのめり込んだのか。それは各選⼿の成績を表す「数字」に魅了されてしまったからです。

 野球は「数字のスポーツ」と⾔われているだけあり、選手の特徴を表す「数字」にはとんでもない数の種類があります。打者を評価する数字には打率・本塁打数・打点など、投手には防御率・勝利数・奪三振数など、なじみの深い数字を追いかけ、毎日選手名鑑を眺めていました。1995年のイチロー選手の打率は3割4分2厘とか、1997年セ・リーグの本塁打王はヤクルトスワローズのドゥエイン・ホージー選手で38本とか、そらで言えたくらいです。そのように選手が積み重ねる数字を追いかけていくうちに、日本のプロ野球だけでは物足りなくなってしまいました。

 そこで目を付けたのがメジャーリーグ。バリー・ボンズ選手が73本の本塁打記録を樹立した2001年頃から意識し始め、その後、大学生になり、ひとり暮らしが始まり、自分のパソコンを与えられてからは、おっかなびっくりMLB公式サイトへアクセスし、寝る間を惜しんで選手データをEXCELに写し続け「数字欲」を満たす日々を過ごしていました。

 圧倒的な情報量が果てしない作業量を与えてくれます。日本の球団数はご存知の通り全12チームですが、メジャーリーグは30チームもあります。日本でセ・リーグとパ・リーグとに分かれているように、メジャーリーグもアメリカン・リーグ(ア・リーグ)とナショナル・リーグ(ナ・リーグ)の2リーグ制。さらにそこから3地区(東地区・中地区・西地区)に分かれており、日本に⽐べると約3倍の規模でシーズンが⾏われています。数字マニアにとっては情報の宝庫。歴史の⻑さと球団の多さが相まって、掘っても掘っても枯れないのですから。

◆打者の手ごわさを数値化したOPS

 メジャーリーグでプレーする選⼿の「数字」を追いかけるなかで、最初に驚いたのは選⼿を評価する指標の多さです。日本では見たことのない数字が多いこと多いこと。先に述べた打率や防御率といった指標だけではなく、最近では⽇本でも⾒られるようになったOPS(On-base plus slugging/出塁率+⻑打率)やWHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched/被安打+与四球)など、メジャーリーグでは2000年前半には確⽴していました。

 例えばOPSは強打者を表す指標として利用され、長打力と選球眼がある打者であるかが分かる数字です。なじみのある日本プロ野球を例に昨年のOPSトップを見てみると、セ・リーグが鈴木誠也選手(広島東洋カープ)の1.018、パ・リーグが森友哉選手(埼玉西武ライオンズ)の.959。本塁打王はソト選手(横浜DeNAベイスターズ、OPS=.902)で鈴木選手とは15本塁打数の差がありますが、対戦する投手にとっては鈴木選手の方がより危険で失点につながる可能性が高いことが分かります。打率や本塁打数から感覚的に判断していた打者の能力を、「数字」による裏付けを持って判断することができます。

OPS

◆歴代OPSの上位、NPBは王、松井 MLBは…

 また、通算記録(4000打数以上)でのOPSを見てみると、1位は元読売ジャイアンツ、世界の本塁打王の王貞治さん(1.080)。往年のスーパースターは数字で見ても偉大な打者だったのです。また、2位は元読売ジャイアンツのゴジラこと松井秀喜さん(.996)。ものすごいスピードでセコムの看板に直撃する弾丸ライナーの本塁打をリアルタイムで見た少年期の私が「しじょうさいきょうのばったーだ……」と直感的に思ったことは、決して間違っていなかったと「数字」が教えてくれます。

※そんな松井さんがメジャーリーグに挑戦した初年度、16本塁打に終わったことに驚愕した話は追々。

OPS
※4000打数以上の選手のデータが対象

 メジャーリーグの通算OPSに目を向けてみると、王さんよりも高い通算OPSを誇る打者が3人も存在しており、特にベーブ・ルース(1.164)が1位に君臨していることは「さすが野球の神様!」と感服せざるを得ません。

OPS
※4000打数以上の選手のデータが対象

 また、前述の松井秀喜さんのメジャーリーグでの通算OPSは、「.822」。日本プロ野球史上2番目の通算OPSを誇る強打者が苦戦している様子が見てとれ、この「数字」からもメジャーリーグのレベルの高さをうかがい知ることができます。

 これらの指標は、出塁率や四死球数など選手の結果を表す数字を組み合わせて出すものですが、最近では投手が投げる球の回転数を表す指標や打球角度や打球速度を表すものから、⼀番効率的にボールを飛ばす角度と速度やボールを叩く位置などが研究され、プレー状況自体を表すデータがあふれており、もう何が何やら……。

 メジャーリーグ各球団は独自にアナリストを雇用し、このような「数字」からチームを勝利に導く「新たな数字」を生み出すべく研究を重ね、年々新しい数字に基づく戦略や理論を作り出しています。記憶に新しいフライボールレボリューション(ゴロではなくフライを狙った方が結果的にチームの得点への貢献度は上がるという理論)など従来のプレーの形態を劇的に変化させるトレンドが生み出され、海を渡って日本の野球にも影響を与えているのです。

 ダイナミックなプレーとそこから生まれる緻密なデータ。「数字」を追いかけながらメジャーリーグの魅力や日本のプロ野球との違いをこれからお伝えしていきますので、乞うご期待! よろしくお願いします!

(ミスター“ボンズ”)

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