――悩み続けながらも2018年まで舞台に立ち続けたんですね。いちばん楽しかった、自信を持てた瞬間はありましたか?
「あ、これだな」と感じられる時はたくさんありました。何年も、何回も悩んだことがふと形になる、本当に瞬間でしかないんですけれど。そして、また次の日は悩むんですが(笑)。でも、そういう時にはものすごい達成感がありました。下級生を見ていて「あ、この子も達成した瞬間があったな」と気づくと、自分のことのようにうれしかったです。
――そのようなストレスフルな舞台と離れて、リフレッシュできる時間はあったんですか?
それが、私は息抜きがとても下手で(笑)。どうしても仕事や舞台のことを考えてしまうんです。それは今も同じで「息抜きってどうしたらいいんだろう……」と思うことも。自分の好きなことをするのが一番なんでしょうけれどね。
こう見えて、ぼーっとするのが好きなんです(笑)。カフェに行って本当にぼーっとしてみたり、時にはおしゃべりを楽しんだり。ささやかですが、自分が好きなことを見つけて、前よりは息抜きが上手になったかもしれません。
◆運命を感じて支配人の道に
――宝塚の娘役から、宝塚ホテルの支配人へ。とてもめずらしいキャリアチェンジだと思うのですが、経緯を教えてもらえますか?
お話をいただいたのは今年の2月です。新しいホテルが宝塚大劇場のすぐ側に開業すること、そしてオフィシャルホテルということもあって、宝塚歌劇に近しい人がホテルにいる必要があるのでは、という考えから声をかけていただきました。「人と人とをつなぐ」という意味でも、組長の経験が役に立つのでは、と。
退団して1年ほど過ぎた頃で、実は宝塚を離れて一社会人として何ができるのだろうと考えていたんです。けれど、心の中にはずっと宝塚がありました。「いつかは宝塚に帰って、役に立てる仕事をしたいな」と思い始めた時に支配人のお話を頂き、運命的なものを感じてお引き受けしました。
宝塚ホテル ホームページ
https://www.hankyu-hotel.com/hotel/hh/takarazukahotel