「どうしてGo To? 」アクセルとブレーキのはざまで 関西の街は?

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 賛否両論が渦巻くなか、政府の観光支援事業「Go Toトラベルキャンペーン」が22日にスタート。梅雨の明けない4連休、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)がなければ、東京オリンピック・パラリンピックの開幕に神戸のみなとまつり、大阪の天神祭、京都は祇園祭の後祭・山鉾巡行で盛り上がっていた私たち。何より「Go To」そのものがなかった。再び増加する感染者。23日までに全国で1日あたりの数が1000人に迫る勢い。大阪、東京などで過去最多を更新した。コロナ・ショックで生活スタイルや価値観が変わろうとするなか「Go To」への受け止めを街で聞いた。

■「医療従事者のご苦労、台無しに…」(神戸・元町で 50代女性 神戸市在住)

神戸・元町
神戸・元町

「神戸・ポートアイランドに住んでいます。だから、とりわけコロナには敏感なんです。どうしてだかわかりますか? コロナの専門病棟を提供してくださった(神戸市立医療センター)中央市民病院の近くに住んでいるから。医療従事者のご苦労に頭が下がる思いです。むやみに人が移動して感染拡大すれば重症者も増えることになり、これまでの努力が台無しになるような気がするんです。Go To キャンペーン、時期尚早なのでは?」

神戸市立医療センター・中央市民病院
神戸市立医療センター・中央市民病院

 地域医療の“最後のとりで”中央市民病院。「1年365日・24時間断らない救急医療」を理念に感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症の重症患者を受け入れた。3~5月に最大68床を確保、ピーク時の4月上旬~中旬には48人が入院。しかし、細心の注意を払いながらも院内感染が起きた。4月11日に救急外来(ER)や救命救急センターなど救急部門すべてで患者の受け入れを停止(現在は再開)。新型コロナウイルスの感染者が全国的に再び急増する中、7月中にも検証報告書を公表する予定だ。

■「なぜドタバタ?近畿圏の小旅行なら“密”なしで」(大阪・難波駅前で 30代・40代女性 宝塚市・三田市在住)

大阪・難波駅前
大阪・難波駅前

「キャンセル料の補償も『観光業への救済策として、何とかしてあげよう』というのはわかります。でも税金からでしょ? キャンペーン自体最初は8月から、って聞いてましたけど。旅行会社に勤める友人もキャンセル料の補償は『寝耳に水』。猛烈に批判受けて急転直下ですしね。何でそんなにドタバタなんでしょうね?計画性なさすぎじゃないですか?」

「いま使わなくても、コロナが収束したら使える旅行クーポンを発売するとかできないんでしょうか? いま、そこまでして遠くへ旅したいとは思えません! 兵庫から大阪、京都、奈良に行ければ十分。特に衹園祭の山鉾巡行がない京都、寂しいけどいつものように混雑してないって聞きますしね。逆に『密』のない小旅行は癒しですよ!」

八坂神社
四条通から八坂神社を望む 例年7月の賑わいはない
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八坂神社西楼門から四条通 車の通行量少なく

 政府は21日、当初の方針を転換して東京を割り引きの対象から外したことに伴うキャンセル料について補償すると表明した。キャンペーンの開始日を22日と告知した7月10日から東京都の除外を公表した17日までの間に旅行を予約した人が対象。赤羽国土交通大臣は17日の記者会見で「国として補償する考えはない」としていたが、すぐに撤回に追い込まれた。

■「安いのは歓迎、でもみんなが行き来すると感染拡がる…矛盾も」(京都・先斗町 20代女性 西宮市・伊丹市在住)

京都・先斗町
京都・先斗町

「こういう機会がないと、安く旅行できないです。私は8月に栃木・群馬に行こうと思ってます。もともと35%オフで、 15%オフのクーポンを付けて、実質的には50%の支払い。お得じゃないですか! 新幹線と在来線を使います」

「4連休中、さっそく23日から伊勢志摩へ行きます! 沖縄や奄美大島など南の島も考えましたが、仕事があるので1泊2日で行けるところを選びました。でも確かに感染が今以上に拡がる危険があるのかな、 矛盾してるな、 という心配はあります。感染者を増やすキャンペーンになってしまっては意味がないとは思います」

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「Go Toトラベルキャンペーン」は国内旅行を対象に代金の2分の1相当を補助する事業。うち7割は代金の割引、3割は旅先で買い物・飲食に使える地域共通クーポンを配るというものだ。予算規模は1兆3000億円あまりとされる。

■アクセルとブレーキ、本当に同時に踏めますか?

 アクセルとブレーキを同時に踏む、冷房と暖房を同時にかけようとする国の施策に国民の多くは矛盾を感じている。本当にできるのだろうか、本当は無理なのではないのか、問い続けている。社会経済が動くことによって守られる命もある。その一方で感染者数が増え、医療崩壊につながる可能性が高まる。国民は、理屈や理論ではわかっていても「進むも地獄、引き下がるも地獄」という泥船に乗った気分になりはしないか。

神戸・三宮
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■「『10月』『中国』 の期待薄く」~インバウンド頼みの構造が崩れてしまう

これまで日本経済を支えてきた重要なファクターが、いまの関西で見当たらない。いるはずの場所にいない。政府は4月3日、アメリカ・中国・韓国など49か国・地域を入国拒否の対象とした。世界的に旅行需要が停滞して久しい。2020年6月の訪日外国人(インバウンド)は2,600⼈(前年同月比99.9%減~日本政府観光局・7月15日発表推計値)となり、9か月連続で前年同月を下回った。

心斎橋筋
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関西でインバウンド(外国人観光客)に向けた商品を開発する男性が匿名を条件に取材に応じた。男性は「我々の中でのキーワードは『10月』『中国』。中国が国慶節の時期に、かつてのように日本へやって来て大量消費、を見込んでいたが、日本で緊急事態宣言が解除されたころから、その雲行きも怪しくなっている。『Go To トラベルキャンペーン』は、これまでインバウンド頼みだった我々観光業に携わる者にとって、セールス対象を国内の方々へシフトするために重要なプロジェクトになり得る」と話した。

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