旧日本海軍戦闘機「紫電改」の実物大模型の公開が人気を集める兵庫県加西市の鶉野飛行場跡。周辺には戦時中の名残をとどめる戦争遺跡が点在する。最寄りの北条鉄道法華口(ほっけぐち)駅から、加西市が整備した遊歩道を鶉野飛行場跡に向かって歩きながらレポートする。
駅を出てすぐ、路面に「飛行場跡1.7キロ」の表示。兵隊や面会の家族がいろいろな思いを胸に通った道を10分ほど歩くと爆弾庫跡がある。見るからに頑丈なつくり。その名通り、砲弾や爆弾、戦闘機の機銃弾などが保管されていた。
道沿いにはコンクリート造りではない、素掘りの防空壕跡が今なお崩れることなく残る。説明盤には「崩落しにくい土質の場所を選んだ」と記されている。
さらに進むと「姫路海軍航空隊」の看板が取り付けられた門柱と、衛兵詰所をイメージした建物が道の両脇に立つ。鶉野飛行場は1943(昭和18)年10月に発足した姫路海軍航空隊の訓練基地だった。
パイロットの養成のほか、滑走路に隣接する川西航空機姫路製作所鶉野組立工場で造られた紫電、紫電改の試験飛行にも使われた。長さ約1200メートル、幅約60メートルのコンクリート製滑走路が当時のまま残っているのは全国的にも珍しい。
滑走路跡の北西には掩体壕(えんたいごう)跡がある。半円形の堤。その囲いに運び入れた戦闘機を木の枝や葉で覆い、空襲から守った。