夢は公認会計士 明石商“最後の一人”の夏終わる 夏の高校野球兵庫大会

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 7日に行われた夏の高校野球兵庫大会5回戦。2年続けて夏の県大会を制している明石市立明石商業高校は延長11回、タイブレークの末に神戸第一にサヨナラ負けを喫した(明石商4-5x神戸第一)。

 試合ごとにメンバー変更が認められる県の独自大会。明石商の狭間善徳監督(56)は3年生全員を交代で出場させることを早々に明言。その狭間監督は7日の試合前、「これまで野球をやってきて、こんなことはないからうれしいね。一度出た3年生がまだ出ていないやつを励ます、いい雰囲気があった。でも、寂しいよね」と神妙な面持ちで語った。

 最初で最後の公式戦は2三振に終わった。明石商の下山峻平外野手(18)は、39人の3年生部員の中で唯一、7日の神戸第一との5回戦まで出場がなかった“最後の一人”だった。

明石商の下山峻平外野手(7日午後=明石トーカロ球場)
明石商の下山峻平外野手(7日午後=明石トーカロ球場)

■「後ろを見たらスタンドにみんながいる。感動しました」

――公式戦では初めての出場、それも4番・右翼での先発出場でした。

下山 4番起用は前日のミーティングで伝えられ、すごく緊張しました。初回のチャンス(1死3塁)で打てなかったのがすごく悔しいです。

――その初回のチャンスの場面では、狭間監督がノーサインで打たせてくれましたね。

下山 「打たせてくれるんだろうな」と予想していた分、初球のストレートに手が出なかったことがすごく悔しいです。

――試合に向けてどのような準備をしてきましたか?

下山 昨日の夜、いつも以上にバットを振り続けました。親も「頑張って来いよ」と背中を押してくれました。

――練習試合とは雰囲気が違った?

下山 空気が全く違いましたね。なんというか……ピリピリしていました。あとは後ろを見たらスタンドにみんながいる。ちょっと感動しました。

――3年間を思い返して一番の思い出はなんですか?

下山 やっぱり今日の試合ですね。あとは……2年秋の練習試合でホームランを打ったこと。うれしかった、今も忘れられません。

■野球人生初めての「挫折」を乗り越えてつかんだ成長

 叔父の影響で小学3年生のときに「下坂部ボーイズ」で野球を始めた下山選手。中学は「尼崎園田フレンズ」でプレー。2年生時には倉敷国際少年野球大会の兵庫東選抜に選ばれるなど、常にチームの中心選手として活躍してきた。

――レギュラーになれなかったのは初めて?

下山 初めてです。中学のときはエースでしたし、内野や外野を一通りやってきましたから。

――初めてサポートする側に回ったんですね。

下山 試合に出ているメンバーだけじゃなく、それ以外のメンバーのサポート・応援が試合に影響しているんだということを知ることができてよかったです。

――5回戦での出場を希望したのはどうして? 早い方がより確実に出られると思うのですが。

下山 4回戦(4日・対小野高校。7回を終わって1点リードの緊迫した展開)は少しドキドキしましたが、必ず勝ってくれると信じていましたので、心配はなかったです。

――試合前、狭間監督が「(下山選手の出身地の)尼崎の高校と当たるとしたら5回戦」と言っていました。

下山 実は県立尼崎高校のエース、矢野(克真)は中学の時のチームメイトで、「必ず打ってやるぞ」と思っていたんです。(県尼崎と)当たるチャンスがあるとしたら5回戦でした。矢野からは「(明石商と当たると)負けるから嫌や」と言われましたが(笑)。

■夢は公認会計士…狭間監督が認める「文武両道」

 狭間監督が「自分のことも他人のことも、なんでもきちんとできる、一生懸命な子」と評する、下山。野球はもちろん学業に手を抜かず、簿記1級や情報処理1級をはじめ、様々な資格を持つ。今後について聞いた。

――進路はどうするのですか?

下山 大学進学です。経営学部で学びたいと考えています。

――将来の夢のため?

下山 はい。商業高校で学ぶ中で、1年生から公認会計士になりたいと思っているんです。

――野球は続けるのですか?

下山 うーん……(数秒考えて)わからないです。

――今日の試合で気持ちの変化はなかった?

下山 特にないですね。(ヒットを)1本でも打っていたら、あるいは。

試合後、取材に答える明石商の来田涼斗主将「下山が試合に出ている姿を見られてよかった」(7日午後=明石トーカロ球場)
試合後、取材に答える明石商の来田涼斗主将「下山が試合に出ている姿を見られてよかった」(7日午後=明石トーカロ球場)

■同級生の来田・中森は「見ていてワクワクする」、憧れの選手は…。

――プロ注目の来田涼斗・中森俊介両選手と同学年。2人はどんな存在?

下山 別格ですね。まとっている雰囲気が全く違う。見ていてワクワクするんです、「本当にすごいな」って。

――憧れの野球選手は?

下山 入学してすぐ、2018年春の近畿大会で大阪桐蔭高校と対戦したんです(明石商は6-7で敗戦)。藤原恭大選手(現・千葉ロッテマリーンズ)はモノが違うな、と思いましたね(藤原は5打数で5安打を放った)。そこから憧れです。

――支えてくれた人、チームメイトに伝えたいことはありますか?

下山 父は単身赴任なので、母が3年間一人で支えてくれた。「ありがとう」と言いたいです。レギュラーのみんなは、甲子園であと1試合(16日の交流試合、対桐生第一)残っています。今日の悔しい思いを糧に暴れてほしいです。

 まっすぐにこちらの目を見て質問に答える表情が印象的だった。インタビューの最後、下山選手に「明商の野球を一言で表すと?」と聞くと「粘りです!」と即答。3年間の思い出を胸に、1人の球児が次のステージに羽ばたく。

令和2年度夏季兵庫県高等学校野球大会 実況中継 | ラジオ関西 | 2020/08/07/金 13:00-15:00

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