戦後2番目に長い景気拡大を実現したとされるが回復の実感は乏しい。新型コロナウイルスによる経済停滞が追い打ちを掛け、日本経済の再生は未完という声も聞かれる。株価や企業業績が改善し富裕層や大企業に恩恵があった一方で、多くの人の生活実感に直結する実質賃金はマイナスが続いた。在任期間中の2度の消費税増税も家計を圧迫した。
■「一見、経済が上向きに。でも先が見えない」 (家電メーカー営業 40代男性)
「“アベノミクス”、言葉だけは先行しましたけど、実体経済が伴っていたかは疑問。実際に株価は上がりましたよ。しかしサラリーマンの年収が増えたかというと、とてもとても……。確かに旧・民主党時代に比べたら経済再生に光は見えましたが、完全に景気を上向きにしたとは思えないです。 自分の会社を含めて、ものづくり企業は長期低迷の中を泳いでます。さらにコロナで経済活動は止まりました。いま本当に先が読めない。また5%→8%→10%の増税。正直、家計は苦しいです」
評価しない課題としては「森友・加計学園問題」「桜を見る会問題」といった疑惑、「新型コロナウイルス対応」「北朝鮮による拉致問題」が挙げられた。
2017年月、参議院予算委員会で安倍首相は「私も妻も一切、この(森友学園の小学校建設に関して)認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ない。私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」と答弁したが、森友問題は本丸とされた財務省へ捜査が及ぶことはなかった。
加計学園問題は、国家戦略特区制度による獣医学部新設計画が、 首相の長年の友人が理事長を務める加計学園を前提に進められたとの疑いが持たれた。さらに首相主催の「桜を見る会」の参加者や予算が年々増加していたことが発覚。公的行事を私物化しているとの批判が強まったが、参加者の名簿は内閣府が廃棄していた。
■「安定はしていたかも。でも“ひずみ”がすべて闇に…」(30代・サービス業女性)
「一連の問題をうやむやにしているのではないか、辞任したらすべて忘れ去られてしまうのが恐ろしいです。長期政権だからこそ、こうした疑惑が出てきたのではないでしょうか。安倍首相のお友達が優遇されたり、官邸による忖度(そんたく)とか。安倍さんが首相になるまで1年ごとにコロコロ首相が交代したから、安倍さんになって安定したかも知れませんが、一方でひずみや腐敗が出てきたのも否定できないと思います」