兵庫県が、播磨・淡路地域の想定し得る最大規模の高潮浸水想定区域図を公表した。とりわけ播磨沿岸(明石市~赤穂市)で発生した場合、対象の8市町のうち明石市を除く7市町で浸水が最大5メートル以上になるという。
日本地震学会・会員として地質や地震の研究を続ける、元小・中学教師の西影裕一さんは姫路市在住。山崎断層帯の調査結果を冊子にまとめ、防災関連の講演も精力的に行っている。西影さんは「水害と地震とが異なる点は、水害は気象予報によって、ある程度予測ができることだ」と指摘する。具体的にどう備えるべきなのか聞いた。
「私は地震を研究しているが、どちらも大きな被害を伴う自然災害という点から関心が高い。それは、被害者を少しでも減らしたいという願いは地震でも水害でも同じだからである。
5メートルの高潮被害想定には正直、驚いた。南海トラフ巨大地震が起きると、播磨の海岸は3メートルの津波が想定されているが最大の5メートルとなるとさらに内陸に入り浸水範囲が広がることになる。
兵庫で起きた水害では、2004年(平成16年)台風23号による豊岡市、2009年(平成21年)台風9号による佐用町へ災害救助ボランティアに出向いた。2018年(平成30年)の台風21号による宍粟市一宮町、波賀町の水害では調査を行ったが、そのときの惨状は今でもはっきりと覚えている。水に対する恐怖は高潮でも洪水でも同じであろう」
そして「何年かに1度の災害で命が危険にさらされる可能性があると示したのであれば、市民に危険をどう伝え、どのように避難するかを具体的に考える必要がある。特に子どもや高齢者、障害を持った方などに向けて『避難するタイミングは?どのルートで、どこへ、誰と避難するか?』など地域の役割をどのように生かすのか考えるべき。個人任せではいけない」と警鐘を鳴らす。