災害や急病、事故など、あらゆる場面で市民の命を助けてくれる救急隊。いざというときに頼りになる心強い存在だ。しかし、そんな救急隊の隊員たちもある悩みを抱えているという。
そこで神戸市内で最も出動件数が多い救急隊を抱える兵庫消防署(神戸市兵庫区)が、全国でも珍しい『過去に救急車を利用して救われたエピソード』の募集を始めた。救急隊員の悩みとは? なぜエピソード募集なのか? 普段あまり知ることのない、救急隊の仕事内容も含めて神戸市消防局の殿村みづきさんと兵庫消防署の川村翔太さんに話を聞いた。
――川村さんは、兵庫消防署の救急係長とのことですが、普段どのようなお仕事をされていますか。
【川村さん】兵庫消防署は本来、兵庫区湊川公園の北側にあったんですが、現在は来年度の建て替え完成に向けて、荒田公園内に仮設庁舎を据えています。私はそこで警備・勤務をしていて、主に救急隊の管理が主な業務ですね。急病人や怪我人を病院へ搬送するのは救急隊の役目で、3チーム体制で24時間365日、ローテーションを組んで勤務しています。
――兵庫消防署には神戸で最も出動件数が多い救急隊がいるんですね。
【殿村さん】令和元年(2019年)だと、救急隊1隊の出動件数が4039件、1日平均11件ほどになります。1回の出動が1時間前後と考えて、24時間勤務の内、半分以上が現場に出ているということになりますね。
――救急隊の仕事をするうえで、心がけていることは何ですか。
【川村さん】最近は、緊急度の低い、救急車が必要とは言えないような軽傷での通報が目立っています。ですが、軽傷事案のなかに緊急度の高い事案が隠れていることがあるので、それを見落とさないよう、先入観を持たず、1件1件の事案に向き合うことを心がけています。救急係長としては、労務管理が主になるので、昼夜問わず出動して食事や睡眠をまともにとれない隊員のため、少しでも働きやすい環境づくりを心がけています。