日本で唯一、ホテルに建つ公式の灯台として知られる神戸市中央区の神戸メリケンパークオリエンタルホテルは、例年、灯台記念日にあわせてホテルの最上階バルコニー部分に建つ灯台を一般公開しているが今年は中止に。広報担当者は「楽しみにしてくださっている皆様のためにも、来年は公開できれば」と話す。
もともとは、旧オリエンタルホテルが1964年に神戸市中央区京町へ移転した際、「港町・神戸のシンボルに」と、日本で初めてホテルの屋上に設置されたもの。阪神・淡路大震災で被災し、一時は休止を余儀なくされるも、同年7月に開業が決まっていた神戸メリケンパークオリエンタルホテルへ継承された。半世紀以上にわたり、神戸の海の安全を見守り続け、その役目を果たしている。
秋の観光シーズン、灯台の公開は中止されたが、メリケンパークオリエンタルホテルは「Go Toトラベルキャンペーンの影響もあり、週末を中心にホテルにご来館いただけるお客さまも増え、少しずつではありますがホテルにも活気が戻ってきました。コロナ疲れのリフレッシュに神戸へお越しいただき、楽しいひと時を過ごしていただければ」と呼びかけている。
こうしたなか、関西では唯一、和歌山県串本町の「樫野埼灯台」が11月15日(日)に一般公開される(午前10時~午後3時・入場無料)。樫野埼灯台は1870(明治3)年6月10日の初点灯から150年。日本最古の石造りで、ブラントンが日本で最初に設計した。
灯台の魅力を多くの人に知ってもらうため、「灯台女子」としてフリーペーパー『灯台どうだい?』の編集発行人を務める不動まゆうさん。幼いころからバイオリンをたしなむ音楽女子。音楽大学に進むも振付家をめざしてダンススタジオに通い詰めるなど好奇心旺盛。現在は楽器の資料館で学芸員を務める一方で、好きが転じて灯台の魅力や文化的価値をメディアを通して訴え、100年後の海にも美しい灯台やを残すことを目指しているが、今年はコロナ禍という非常事態に大変心を痛めた。
「緊急事態宣言が発令され、外出自粛期間中は灯台に行くことができず、代わりに『灯台ONEタップビュー~ぐるっと360°灯台探索』という海上保安庁(東京・第三管区海上保安本部)が公開しているサイトで、灯台内部のパノラマ画像を眺めて心を慰めていました(※サイトでの閲覧は、VR(バーチャルリアリティ)モードへの切り替えも可能だが専用のVRゴーグルが必要)」。
「海と灯台ウィーク」
https://toudai.uminohi.jp/todai-week2020/