ようやく…バイデン氏に軍配 アメリカ大統領選挙「混乱の序盤とも?求められる日本のフットワーク」神戸大大学院・木村幹教授 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

ようやく…バイデン氏に軍配 アメリカ大統領選挙「混乱の序盤とも?求められる日本のフットワーク」神戸大大学院・木村幹教授

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■求められる菅首相のフットワーク

 ただし、バイデン氏は特段の日本とのつながりを持っているわけではなく、トランプ政権の4年間で、日本政府と米・民主党系の勢力のパイプは弱まっている。この中で日本政府が、仮に中国外交や北朝鮮外交で独自の動きを見せると、民主党政権は警戒の目を向けるかも知れない。日本政府にとってまず必要なのは、ワシントンとのパイプをつなぎ直すこと。前政権からの資産が使えないという意味では、外交面では経験が浅く、独自のパイプを有して居ない菅新首相には難しい局面かも知れない。トランプ氏が大統領に就任した直後に安倍前首相が訪米したように、菅首相にもフットワークの軽い外交が求められる事態になっている、のだと思う。

■早くも韓国は動く

 バイデン氏は当選直後のトランプ氏とはまた違う意味で、独自の外交政策を固めているとは言えない状態にある。それは国内問題で手いっぱいだから。そして、こういう時にこそ重要なのは、早め早めに相手側に働きかけていって、その外交政策の形成過程に関与していくことだ。韓国は、早くも康京和(カン・ギョンファ)外相を派遣した。9日にはポンペイオ国務長官と会談するほか、バイデン陣営関係者とも意見を交わすとみられる。ここから東アジア諸国の競争が始まることは理解しておいた方がよいと思う。

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神戸大学大学院・木村幹教授
神戸大学大学院・木村幹教授

◆木村 幹(きむら・かん)1966年生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。神戸大学大学院国際協力研究科教授。NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。著書に『日韓歴史認識問題とは何か歴史教科書・『慰安婦』・ポピュリズム』(第16回読売・吉野作造賞受賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(第25回サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)。2020年には『平成時代の日韓関係』(ミネルヴァ書房)、『歴史認識はどう語られてきたか』(千倉書房)を相次いで執筆。熱烈なプロ野球・オリックスファン。

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