デンマークで開かれた「2020 F4 デニッシュ チャンピオンシップ」に初参戦した女子中学生レーサー、Juju(ジュジュ)こと野田樹潤さん(14)と、父で監督の野田英樹さん(51)が帰国した。最速を誇りながら地元勢とのバトルに苦しんだ1年を振り返った。(下)
――開幕戦で見せたJujuのスピードとオーバーテイクは、明らかに地元チームの見方を変えました。3つ目の舞台となったリング・ジュルスランドの第7~9戦は、すべてに接触、衝突、追突がからみました。
【Juju】最初は全然、相手にされなかったのに、第1戦で勝って、その後もポールポジションを取り続けて、すごくマークされるようになりました。前に行かれたら追いつけないと思ったのか、前に行かせるくらいならぶつかってでも止める。抜けるところはぶつかってでも行くっていう感じの走りでこられました。日本だったらペナルティを受けるくらいの走りで、日本とは全然違うなあって……。
【野田監督】開幕戦でJujuが優勝した後、チャンピオンチームは、マシンを4台体制に増やしてきたんです。2台でチャンピオン争いをし、残り2台はJujuをけん制するためですね。
【Juju】抜けるところで、抜きに来てぶつかるのはしかたないんですが、抜くラインでもないところでぶつかってくるから予測もできない。はじめは怖かったけど、3回目ぐらいからは慣れてしまって。「またか……」って。
――第7戦はポールポジションからスタートしたものの3位に落ち、衝突の末、最下位に。第8戦は、10番手からスタートして6位まで追い上げたところで追突され、7位フィニッシュ。結果的にデンマーク最後のレースとなってしまった第9戦も、8番手からスタートして4位まで追い上げていたところで、接触からリタイア。
【Juju】もう、ぶつけられてばっかりで、ポイントも獲得できてなくて、もう失うものが何もない状況でした。リタイア後、ちょうど観客席の前だったんですが、向こうがデンマーク語で何か文句を言ってくるので、こちらは日本語で「そちらが下手くそなだけだろっ」って、やり返しました。
【野田監督】ポールポジションとなれば、一番最初にパドックから出て1番いいグリットにつくわけです。でも、我々のパドックは正式なパドックの外の駐車場。しかも、隊列の一番後ろからグリットに着くように言われた。するとどうなるか。他の車を避けながら先頭に出て止めるので、グリットにまっすぐ車を止められない。スタート位置についた時には、車が斜めになっており、ステアリングを切ったままスタートをしなければならない。それでは滑ってしまってまともなスタートができない。それがスタートと同時に3番手に落ちた理由です。何もかも初めてのJujuには、抗議することもできなかった。地元には地元のプライドがあって、自分がヨーロッパで戦っていた時にも、もちろんそういうことはありました。しかし、そういうこともはねのけて、突き抜けるほどの力をつけなければいけないということだと思います。
――速さをいかに勝ちにつなげるか。これが終盤の課題になりましたね。