この天体を利用して航海する手法は、現在でもGPSが故障して使えなくなった時の予備として必要な知識、技術とされています。
■「日の出」の定義は厳密に
「日の出」とは太陽の上の端が地平線や水平線に接する瞬間のことを言います。反対に日の入りは、太陽が沈みきった瞬間になります。日の出直前の空が薄明るくなってきた頃は、薄明や黎明、曙、暁などと呼ばれています。
日本では冬場のこの時期、日の出は南東方向の地方が早く、西に行くにつれて少しずつ遅れていきます。東経がほぼ同じ京都と和歌山県の潮岬を比べてみると、南にある潮岬の方が約4分早く日の出を迎えます。同じ兵庫県でも南部・瀬戸内の姫路市と北部・日本海側の豊岡市の城崎では約2分、日の出の時刻が違ってきます。一方、夏場は反対に、北東方向の地方が早く日の出を迎えます。
また、山の上や高層住宅のように標高の高いところでは、地上より早く日の出を迎えます。標高が50メートル高くなると約1分、200メートル高くなると約2分ほど早くなり、1000メートルくらいまでは200メートル高くなるごとにほぼ1分ずつ日の出が早まっていきます。たとえば、地上50メートルほどの建物、15~16階くらいの部屋で約1分、標高160メートルの神戸の諏訪山公園展望台では約2分、東京・スカイツリーの450メートル展望デッキでは約3分、地上より日の出が早くなります。
このように場所によって日の出の時刻が変わるのは、私たちの住んでいるこの地球が平面ではなく丸いということと、地球の北極と南極を結んだ直線、地軸または自転軸とも言うんですが、これが太陽の周りを回っている地球の公転面に対して傾いているために起こります。
それから、皆さんも朝の通勤や通学で毎日の日の出の時刻が変化しているのにお気づきかと思いますが、日の出の時刻は、年明けのころが一年で最も遅い時期となります。
■冬至が一番日の出が遅いかと思っている方も多いが……。