神戸市長田区の市道で車を運転し、割り込んできた車にしつこくクラクションを鳴らすなどして「あおり運転」をしたとして、兵庫県内で初めて道路交通法違反のあおり運転などの罪に問われた無職の男(52・神戸市長田区)に対し、神戸地裁は7日、懲役2年の実刑判決(求刑・懲役2年6か月)を言い渡した。男は行為の正当性を主張し、起訴内容を一部否認していた。
男はあおり運転を厳罰化した2020年6月30日の改正道交法施行後、兵庫県内で初の逮捕者だった。判決によると、男は10月1日午前9時半ごろ、神戸市長田区内の市道で軽乗用車を運転し、信号待ちをしていたが、前に割り込んだ小型トラックに対してクラクションをしつこく鳴らしたり、車間距離を詰めて追うなどの妨害運転をしたとされる。あおり運転は約2分間、約1.2キロ続いた。
被告は公判で「事件当時も、脇道から左折してきた小型トラックが、自ら運転する乗用車の前に割り込んできたことに腹を立てた」と述べ、弁護側も「被告の行為には正当性があった」と主張していた。
しかし神戸地裁は判決で「小型トラックが被告の前に割り込んだのは、被告が車を発進するのが遅れたのが理由」と指摘。「小型トラックの運転手は被告に対し会釈するなど、一定の配慮をしていた」と述べ、強引な割り込みをしたという被告の主張を退けた。
被告はあおり運転とされた行為の後、「車に割り込まれた」などと110番通報したあと、神戸市中央区の兵庫県警本部に車で乗り付け、警戒中だった警察官とトラブルになり、頭突きをしたりスリッパを投げ付けたりしたとして、公務執行妨害などの容疑で現行犯逮捕され、起訴された。判決ではこの点にも触れ「あおり運転をしていた時の怒りが収まらず、まさに八つ当たりだ」と厳しく指摘した。