新型コロウイルスの感染拡大、ウイルスは小さくて目に見えないのに人を殺してしまう力があり、2020年は、この恐怖にさらされた。ウイルスは専門家しか対処できないが、目に見える地震などの自然災害は私たちにもその後の対応を考えることができるようになった。それは1995年の阪神・淡路大震災を契機に、国レベルで対策を考えるようになり、「防災」のみならず「減災」という言葉も生まれた。
日本地震学会・会員として地質や地震の研究を続ける、元小・中学教師の西影裕一さんは兵庫県姫路市在住。山崎断層帯の調査結果を冊子にまとめ、防災関連の講演も精力的に行っている。阪神・淡路大震災から四半世紀を超え、この間にも巨大地震が起きている。これらから私たちが学ぶべきことを聞いた。
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1995年の阪神・淡路大震災、2011年には、さらに大規模な東日本大震災。特に東日本大震災から10年という今年、2021年は、その復興のために日本中が一丸となって取り組んでいますが、2016年4月、さらに追い打ちをかけるように熊本地震が起こります。さすがに20年もの間に3回も大規模な地震が起こったとなると、地震は他人事ではなくなったと皆さんは感じておられることと思います。今まで日本人は地震に限らず自然災害が起こると自然災害を研究し、必ず防災にいかしてきました。この3つの大地震から学ぶ点、つまり教訓は何か考えていきましょう。
3つの地震のうち、阪神・淡路大震災と熊本地震は共通点があります。ただし東日本大震災は2つの地震とは地震発生の形態が違います。
プレート(岩盤)の「ずれ」が原因の地震。地球の表面は厚さ100kmもある十数枚のプレートからできています。日本について述べると、太平洋プレートが1年に数cmずつ日本に向かって移動しており、日本海溝で日本列島の下に潜り込んでいます。この時すごい力が2つのプレートにかかりますが、耐えきれなくなったときプレートが急にずれ地震が起こります。これをプレート境界型地震といい、マグニチュード(以下、M)8~9の巨大地震が起こります。東日本大震災や、今後起こる可能性が高いとされる南海トラフ巨大地震がこれに当たります。