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■断食・断水・断塩…天台密教の秘法「浴酒供養法」疫病退散祈念
円教寺では2020年3月から新型コロナウイルスの早期収束を願い、毎日正午に特別祈祷が行われているが、2020年12月、円教寺僧侶・中安剛円師(塔頭・妙覚院住職)が1週間、天台密教の秘法とされる「宇賀大弁財天浴酒供養法(うがだいべんざいてん・よくしゅ・くようほう)」と達成した。断食・断水・断塩という大変厳しい荒行で、中安さんにとって今回が3回目となった。
「宇賀大弁財天」は円教寺の摩尼殿の本尊・如意輪観音の化身。宇賀神(うがじん)は弁財天の頭の上に乗る神で、その姿は人頭蛇身といい、体はとぐろを巻く蛇、頭部は翁(おきな)で財をもたらす福神とされる。「浴酒」は人肌に温めた清酒に、白檀(ビャクダン)や丁子(チョウジ)を煮出した湯を混ぜたものを小さな宇賀神の像に注ぐことをいう。
宇賀神は財をもたらすがゆえに、中安さんは経済不況からの脱却と新型コロナウイルスの収束を願い12月16日~23日に浴酒を続け、計21回にわたる浴酒供養法を満行(まんぎょう・行を終える)した。
行を終えた中安さんは、頬がこけて声がかすれながらも「特に寒い中の行、血管の収縮と呼吸困難を感じながら、他者の幸せを念じると、自然と血管が拡がって呼吸が通り、あたたかい気持ちになる。他者と自分はつながっているんだと感じる瞬間だった。幸せとは「為し合わせ(なしあわせ)」とはよく言ったもので、お互いさまという思いやりの心、それがコロナ禍での生活のあり方だと思う」と力強く話した。