料理界に新風を巻き起こそうと、2021年1月に発売されたのが、しょうゆとカカオを融合させた調味料「カカオ醤(ジャン)」だ。しょうゆの深いうま味とチョコレートの香ばしさ、どちらも楽しむことができる。
この商品の開発に携わったのは、和歌山・湯浅町で明治14年から醤油蔵を営む「湯浅醤油」、チョコレートの匠と称される「トモエサヴール」、そしてフランス東部で店を構える「エリタージュ」の3社。「チョコレートとしょうゆ、どちらも同じ発酵食品。それなら、融合させて新しいしょうゆを生み出せないか?」というアイデアをきっかけに開発を始めた。はじめは、上手くしょうゆにカカオの風味を溶け込ませることができず、カカオの産地(ベトナム)に通うなど、4年間にも及ぶ試行錯誤の末、ようやく生み出された。
カカオ醤の製法は、ローストしたカカオをしょうゆに漬けて寝かせ、瓶の中で熟成させるというもの。チョコレートと違って砂糖は使っていないが、カカオの香りとしょうゆの豊かなうま味が融合し、素材の甘さを味わうことができる。さまざまな食材と相性が良く、特にカカオ醤の風味を感じたいなら刺身がオススメ。鯛などの白身魚の上に少し乗せるだけで、従来のしょうゆとは違う味わいを楽しめる。さらに、肉料理なら臭みが気になるジビエから、あっさりとした鶏肉まで幅広く使うことができる。カカオ醤を使うことで、いつもの料理がより味わい深くぜいたくに変身するだろう。
商品は、ペーストタイプと粒タイプ(各1,620円、税込)の2種類が販売されている。ペーストタイプはカカオとしょうゆの芳醇な香りと、滑らかな舌触りが特徴。食材に塗ったり、溶かし込むのに最適なテクスチャーだ。粒タイプは荒く砕いたカカオ入りで、ザクザクとした食感が楽しく、かんだ瞬間にカカオの味わいが口いっぱいに広がるのがポイント。料理のアクセントにピッタリの逸品。
好評につき、ネットでの販売は完売。販売元の湯浅醤油は、「湯浅醤油にはほとんど在庫がなく、増産はしたいが、新型コロナの影響で原料の調達が難しい」と現状を吐露していた。今後の展開が気になるところだ。