■全国の鉄道駅、ホームドア(ホーム柵)設置4割未満
国土交通省によると、2020年3月末時点で全国の9465鉄道駅のうちホームドアがあるのは858駅(約9%)。ターミナル駅など主要な285駅に限ると50%を超えるが、ホーム数では1275のうち447(35%)と設置割合は低い。この点について国交省は「特に、鉄道各社の相互乗り入れがある場合では複数種類の列車が停車し、乗降位置が一致しないことが導入への高いハードルになる場合がある」と分析する。
関西大学の安部誠治教授(交通政策論)は、ホームドアを設置していれば、こうした飛び込み行為を防ぐことができたと指摘する。同時にコストの問題も浮上するという。初期費用だけでなく設置後のメンテナンスも必要となるためだ。「鉄道会社にとって、ホームドアを設置すればするほど支出が膨らんでいく。特にコロナ禍で乗降客が大幅に減り、生活スタイルの変化から終電の繰り上げなどの検討に入り、収益が大きく減少する中、急速に普及させるのは難しい」と話した。