昨年(2020年)の冬、兵庫県北部(但馬地方)の但馬漁業協同組合と地元高校が共同で開発した缶詰商品、「のどぐろ飯」と「ほたるいか飯」。お米や調味料まですべて但馬産を使用しており、海の幸に恵まれた但馬の魅力がぎゅっと詰まった逸品だ。その缶詰シリーズに、新たな種類が加わった。
まずは「かに飯」。香住漁港(兵庫県美方郡香美町)で水揚げされたベニズワイガニ(香住ガニ)を使った炊き込みご飯だ。ミネラル豊富な深海に生息する香住ガニは、甘みが強く、みずみずしい味わいが特徴。カニ身のうまみをさらに引き立てる麹の魚醤「香住ガニ魚醤」で炊きこんでいる。
次に「はたはた飯」。但馬は、はたはたの漁獲量が全国でトップクラス。そのため「はたはた飯」は山陰のソウルフードとも呼ばれている。脂がしっかり乗り、甘みのある身を味わえる炊き込みご飯が缶詰でも楽しめる一品。こちらも麹の魚醤「ハタハタ魚醤」を使用。
最後に紹介するのは「かれい煮付」。但馬で魚の煮付と言えば「カレイ」と言われるほどポピュラーな魚、「エテカレイ」が使われている。ふっくらした身に甘辛のタレが染み込み、口の中にじゅわっと広がるうまみが魅力。麹の魚醤「ハタハタ魚醤」で味付けされており、おいしくて体に優しい、ご飯がすすむ逸品だ。
既存商品の「のどぐろ飯」「ほたるいか飯」「ほたるいか甘煮」と合わせて、缶詰シリーズは全6種類。但馬の味覚を贈り物にできる、ギフトボックスも販売中だ。
缶詰シリーズ開発のきっかけは「未利用や低利用で、流通に乗れない小さな魚を無駄にしたくない」という、但馬漁業協同組合の模索からスタート。実習で缶詰を作っていた地元高校に声をかけ、共同で作り上げたのが「のどぐろ飯」だった。その他、未利用魚を使った「魚醤」も、但馬漁業協同組合が生み出した努力の結晶。本来は塩だけで作る魚醤だが、麹を使用することで魚の臭みを消すことに成功。缶詰シリーズにも使われている魚醤は、魚やご飯のうまみをよりいっそう引き立てている。
但馬漁業協同組合・企画流通課の西賀さんは「山陰但馬の豊かな食を皆さまに知っていただき、味わっていただきたいです。海や山と共に生きること、人として心と体が満たされる、本当の豊かさに気付いていただけると幸いです」と思いを語った。